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話 (sideアーサー
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「そしたらあひるちゃんが…」
口から出る言葉と言ったらユーリの膝の上にふてぶてしく座っているアヒルのことばかりだ。
もちろんつまらなくはない
だが私が聞きたいのはユーリのことで…
「…ふふ…それでですね…」
ユーリは思い出し笑いをしながら楽しそうに話しを続ける。
…いやまぁ…これはこれで…
ぼうっとユーリの話を聞いていたら、突然ユーリがハッとしたように黙り込んでしまった。
「……?………どうした?」
「ぁ…あの…おれ、の話は…やっぱりやめましょう…」
「…何故だ…?」
「お、おれの話…つまらないです……ごめんなさい……」
どうやらユーリはアーサーがつまらないと思っていると感じたらしい。
小さく謝ると、シュンとして俯いてしまった。
「……いや…違う…続けてくれ。」
「……でも……」
「……お前の話は面白いが…もっとお前自身の話が聞きたいと…思っただけだ。」
「………俺自身の話……?」
「例えば『お前がこう言ったからアヒルがこう言った』ではなく『アヒルが何かを言ったときにお前はどう思ったか』が聞きたい。」
…意味、わかるだろうか…
少し難しかったか…?
ユーリはしばらく考えた後
「ぁ…えと…あ、あひるちゃんが…アーサー様かっこいいねって言ったから…おれもそう思うなって…思いました。」
と、小さな声で言った。
「……………………………そうか…」
どう反応しろというのか。
何かもうあざとさまで感じられる。
「…私は……か、かっこいい…か…」
何となく、もう一度確認してみた。
「かっこいい」と言われたのは素直に嬉しかった。
「はい…!あの、アーサーさまはこんなにおれに優しくしてくれて…美味しいご飯も食べさせてもらって…おれ……あ、アーサーさまのことは大好きです!」
ユーリはテーブルから少し身を乗り出しながら言った。
「……だ、大好き…か…」
………わざとやってるだろう。
おいそんなに身を乗り出すな顔が近い。
ユーリの部屋に備え付けてあるテーブルはダイニングのものよりいくらか小さく、幅も狭い。
そのせいでアーサーとユーリの距離がいつもより近くなっていたのだ。
「……す、少し離れてくれ…」
顔を逸らしそっとユーリの肩を押した。
「あ、ご、ごめんなさい……」
ユーリは酷く傷ついたような顔をした後、俯き気味にイスに座り直した。
しまった。
「…いや、今のはそういう意味ではなくて……あ…えっと…だな…」
「……いえ…わかってます…ごめんなさい…」
「いや…だから……」
……折角懐き始めたと思ったのに……何やってるんだ私は……
「ユーリ…違う……今のは……私もユーリのことは好……き、嫌いじゃない。」
……………………………………。
何で素直に言えない!?
目の前の愛らしい子供にそういう意味の好意があるのは自分でもわかっている。
…なのに……
「…嫌い…じゃないですか?」
「…………あ、あぁ…」
ユーリはホッとしたような笑顔になると、頬を少し染めながら小さく言った。
「……良かった………」
ふわりと笑うユーリに、目が釘付けになった。
可愛い…
自分の言動1つでコロコロと表情を変えるユーリが愛おしくて仕方が無い。
「……冷める前に食おう。そしたら一緒に風呂に入って…一緒にこの部屋で寝る。」
「…え…!?い、一緒に……?いいんですか…!?」
パアッと顔を綻ばせたユーリに、アーサーは顔に熱が集まるのを感じた。
…可愛すぎる……ダメだ…
「……あぁ…ほら、早く食え。」
「はい…!」
ユーリは笑顔のまま、また嬉しそうに夕食を食べ出す。
アーサーもユーリが笑顔に戻ったのに安心し、自分も夕食を再開した。
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