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Episode51
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「笑えないよ、兄さん。
なんで、死のうとしたんだよ…」
「…それは…」
ご主人様に言われたから、なんて事湊には言えない。
…俺が穢れているって思われたら嫌だし、あの夢の様に貶されたらもう俺に支えはなくなるから。
「俺、何言われても兄さんの事嫌いにならないよ。」
よく通る声が、耳に染み込んでくる。
湊を信用したいのに、出来ない。
一番嫌なパターンを想像してしまって、怖くなる。
大好きな湊を信用出来ないなんて、俺は頭がおかしいんだろう。
「分かった、まだ話さなくて良いよ。兄さんの話したい時に話してくれれば良いから。」
そう言った湊は、俺の手を握って撫で始めた。
そうしている湊は無言だけど、穏やかな顔をしている。
十数年も前に見ていた、あの幼い湊とは違うんだと
今やっと実感した。
十数年ぶりに見た弟は、俺の予想よりも遥かに、
内面外面全てが成長していた。
…狭い世界で、ご主人様に飼われていた俺とは違う。
俺が顔を上げると、湊と目が合った。
湊は俺を見ると、穏やかに、優しく微笑んでくれた。
その表情を見て、心が締め付けられる。
…なぁ湊、お前は俺が知らない内に、どれだけ成長したんだ…?
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