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Episode59 side時雨
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彼が、僕の持っていたボールペンでまた自殺未遂をした。
侑君が僕のボールペンを奪い取る迄の行動は、まるで死ぬ事しか考えられない様だった。
きっと、また『ご主人様』を思い出したんだろう。
ここは病院だから、彼の自殺は阻止した。
こんな事を思っている僕は、精神科医…もとい医者にさえなってはいけなかったのかもしれない。
目の前の青年は、成長しきれていない。与えられた情報ばかりが先走り、心が着いて来られない。
だから、感情の割れが起こる。
だから、自殺をすぐに決行出来なくなる。
…戸惑いが、生まれる。
「…侑君。君は、もう『ご主人様』に縛られちゃいけないんだよ。」
自分の大半を構成した人物を取り除くのがどれだけ大変な事か…そんな事は痛いほど分かっている。
でも、君はその努力をしなければいけない。
それをしないと一生、後悔と絶望に拘束される事になる。
この間弟君が来た事で、希望は見えた。
侑君の中の「ご主人様」への執着度合は分からないけれど、弟君へも相当執着している事は分かった。
弟君は、今後幾らでもプラスに働く存在になる。
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