アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12
-
もぐもぐ…
今葵はコックが作ったスープを飲んでいた。
さっき宇月に起こされた時に自分の頬に涙が滴っているのに気づき少々驚いた。
そして何故泣いていたのかすぐにわかった葵は気を落とす。
もう葵は絶望という暗闇に飲み込まれてしまったかのように目の光がなくなっていた。
カチャカチャ
食事を食べ終え、宇月が食器を重ねている。
「俺…」
ボソッと葵が口にした言葉を聞き逃さなかった宇月。
「どうしたんです??」
「あ、い、いや…なんでも…ないです。」
「なんでもないようには見えないのですが。」
「…っ。お、俺ってやっぱり…誰にも…誰にも必要とされていないのかな…って…。そしたら俺生きてる意味あるのかなってっ。俺…っ俺…もう…どうしたら…。」
葵はプツンと線が切れてしまったかのように大泣きで話はじめた。
それに少し驚いた宇月だったがチャンスだととっさに考えていた。
人というものは心に不安や悩み、恐怖など怯えている時に優しくされれば落ちやすい生き物。そう。単純な生き物なのである。
故に騙し騙され信じ込み無限のループが始まる。始まれば永遠に解かれる事はない。
葵もそのループに飲み込まれて行くことになるのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
72 / 118