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生きてる
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「……あ、起きた」
「……ぁ……?」
「水持ってきてあげる」
目を覚ましたら、冷たい雪はどこにもなくて、ふかふかのベッドの上だった。
……こんなところで寝たの初めて……。
ここどこだろう…ぼく死んだのかなぁ……。
「はい、ゆっくり飲むんだよ」
「ぁ……り、がとぅ……」
「喋らなくていい。喉傷めるだけだから」
水を入れたコップを手に戻ってきたのは、天使様で、水を差し出してきたけど受け取ろうとする僕の手が小さく震えてるのを見ると、小さく溜め息をついて手を引っ込めてしまった。
「……甘えていいのは今回だけだよ」
右の足をベッドに載せて、左手を僕の頭に回して少しだけ上を向かせて、コップを近付けてくる。
「……?」
「口あけて。零されたら布団洗わなきゃいけないでしょ」
それで、慌てて口を開けると少しずつ水が口の中に流れてきた。
……冷たくて美味しい。
体が渇ききっていて、コップ一杯全部一気に飲み干してしまった。
「……んく、……はぁっ……ここ、どこですか?」
「王城。貧民街で雪に埋もれてぶっ倒れてたから、君を拾ってきた」
「ぼく、死んだんですか?」
「はァ?」
何言ってんの、と整った綺麗な顔を思いっきり顰めてみせた。
「せっかく助けてあげたのに死なれて堪るかって話だよ。生きてる」
「生き、てる……」
そう言われて、ほっぺたを抓って、ペタペタと自分の身体を触る。
いきてる。生きてる。心臓が動いてる。息をしてる。
「……嬉しい」
「そう」
「あ、あの、本当に、ありがとうございます。助けてくれて…えっと」
「レオン。レオって呼んでくれて構わないよ。あんまり様付けとか好きじゃないんだ」
「……レオ、さん?」
レオさんは、ふっと薄く笑った。
「いいね。……少なくとも、アイツよりずっと可愛げがある」
レオさんの言う「アイツ」が誰なのかは分からなかったけど、さっきの口ぶりからしてきっとレオさんは偉い人。すごい人。
「……あの、ところでここ、どこですか?」
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