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第三話「困惑」01
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「お疲れ様でした!是非またお越しくださいませー」
何故かとても嬉しそうな女性スタッフに見送られ、お化け屋敷を後にした俺達。
あー叫び過ぎて喉が痛い。
さっき買った飲み物を一気に飲み干し、俺はベンチでぐったりとうなだれた。
それをしてやったりと言わんばかりの顔で俺の隣に腰掛ける透也さんは、涼しげに飲み物を口に含んだ。
「まさかお前が仕掛けにことごとく引っ掛かるとは思わなかったな…」
小さく思い出し笑いをする透也さんの横顔を見れば、さっきまでの怖い雰囲気はすっかり消えているみたいだ。
あんなにお化け屋敷で怖い思いをさせられたけど、この人の楽しそうな表情を見たら…まぁ別にいっかという気になってきた。
でもやっぱり悔しいから、ちょっとだけ言ってやる。
「透也さん…性格悪いって言われません?」
「言われるが大した問題じゃない」
「うーわすごい自信ですね」
「引いたか?」
「全っ然!流石です!」
「…それは褒めてないだろ」
「あはははっ」
余りにもらしくない困った顔をされて、思わず笑ってしまった。
そんな俺を見て透也さんはバツが悪そうに顔を逸らし、笑いすぎだと髪を乱暴に撫でて来た。
それすら何だかやけに楽しくて…こんなに笑ったのは、随分久しぶりな気がした。
すると場内のスピーカーから可愛らしいメロディーが流れてくる。
何事かと驚いていると、透也さんが何かを思い出した様に場内マップを開いた。
「確か…夕方からパレードがあるらしいが、そろそろだったか」
「え、もうそんな時間だったんですか」
楽しいと時間はあっという間に過ぎてしまうんだな。
よくよく考えてみれば、空は紫と赤が広がり…太陽がすっかり傾いていた。
そしてスピーカーの音を合図に、人がどんどんメインストリートに集まってくる。
俺達も並ぼうとベンチから腰を上げると、突然トイレに行きたくなった。
しまった…さっき飲み過ぎたな。
「透也さん、すいません。俺ちょっとトイレに行ってくるんで適当に場所取っててくれませんか」
「ああ…と、言いたい所だが俺もだ」
どうやら2人とも飲み過ぎていたようで、俺達は互いに呆れた笑いをしながら一緒にトイレに向かった。
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