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その執事、苦悩
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シエルはこの前まで悩んでいたのが嘘のように、セバスチャンと恋人同士になってからは幸せそうな顔をしていた。
あんなに2人の関係が変わるのが怖かったことも、時々する軽いキスや囁かれる愛の言葉で(主にセバスチャンからだが)良い方向に向かっているため安心していた。
だが一方で、セバスチャンは・・・
「はあ・・・。」
実った片想いが原因で、新たな悩みを抱えていた。
ガチャ
「坊っちゃん、お風呂の準備ができております。」
「ん、入る。」
セバスチャンにとってはこのバスタイムこそが1番の悩みの種であった。
主であり、恋人であるシエルを脱がし、洗わなければならないのだ。
純粋で、キスすらも初めてだったシエルは現状に満足していて考えたことすらないが(というよりこれ以上先を知らないのだが)、セバスチャンは違う。
啄む程度のバードキスでは物足りず、もっと深く、もっと触れたいと思ってしまうのだ。
ちゃぽん・・・
「ふぅ・・・っ」
「お湯加減はいかがですか?」
「きもちいい・・・」
シエルがお風呂に入っているときは、瞳は潤み、頬を上気させていて・・・なんというか、すごく妖艶なのだ。触れたいと思っているセバスチャンにとっては拷問状態で・・・
(嗚呼、そんなお顔なさらないでください。今すぐに押し倒してしまいたくなるじゃないですか・・・)
必死に気持ちを自制していたセバスチャンはシエルの声が聞こえてなかった。
「・・・チャン・・・セバスチャン!」
ハッ!
「申し訳ありません、坊っちゃん。なんですか?」
「早く身体を洗え、のぼせちゃうだろ。」
「かしこまりました。」
「なんだ、考え事か?珍しいな。」
「私にも悩み事の1つや2つありますよ。」
セバスチャンはスポンジを泡立ててシエルの身体を洗い始めた。
「・・・なんで僕に言わないんだ。僕はお前のこ・・・恋人だろう?///」
(まったく・・・あなただから言えないと言うのに)
「ですが・・・こればっかりはあなたにも言えませんよ。」
「なんでだ!・・・僕じゃ頼りにならないからか?」
シエルは傷ついたような、寂しそうな顔をした。
見るからにしゅん・・・として俯いてしまった仔犬のようなシエルを見て、セバスチャンは苦笑した。
結局、傷つけてしまった、と。
シエルのためにゆっくりと時間をかけて先に進もうと自分を抑えていたつもりだったが・・・
(本当に先に進むのが怖かったのは、私かもしれませんね。)
「では坊っちゃん、私のわがままですが・・・申し上げてもよろしいでしょうか?」
「なんでも言え。今は恋人として、お前の話を聞いてるんだ。」
いくら“なんでも”と言われても、あまり事を急ぎすぎるのははばかられる。
「では・・・坊っちゃんとキスがしたいです。」
「・・・それだけか?いつもしてるんだから、別に今さら気を遣わなくても・・・///」
「そうではなく、もっと深いキス、ということです。」
「・・・?もっと深いキス・・・?いつもと違うのか?そんなのがあるなら、なんで今までしなかったんだ?」
「少々呼吸がしづらいものですから、坊っちゃんがおつらいかと思いまして・・・」
「我慢しなくていい。お前のあんな顔見るほうがつらい。」
「そんなにひどい顔してましたか、私;」
「ああ、もうお手上げだーって顔してたぞ。」ニヤリ
「ああ、私としたことがなんて失態を・・・お恥ずかしいです//」
「なにを悩んでいるのかと思えば、そんなことだったとは・・・フッ、だからフランシス伯母様に“いやらしい顔”だなんて言われるんだ。」
「ぼ、坊っちゃん・・・っ!あんまり苛めないでくださいよ///」
普段の仕返しとばかりにシエルに苛められて、顔が赤くなるセバスチャン。
恋人同士になってから、今まで知らなかった一面が見れるのもシエルにとっては嬉しかった。
「で?しないのか・・・?///」
「では、目をつぶって、少しだけ口を開けてくださいますか?」
「ん。」
シエルはなにをされるんだろうとドキドキしながらも素直に目を閉じた。
その瞬間 ──────
ぬる・・・っ
「ふっ・・・ん!?んむぅ・・・はぁ、あっ・・・///」
(なにか口の中にはいって・・・っ!苦しいけど、きもちいい)
そぉっとうっすらシエルが目を開けると・・・
今まで見たことないぐらい、セクシーな顔をしたセバスチャンが映って、思わずきゅんとしてしまった。
(・・・セバスチャンもきもちいいのかな?///)
今までされるがままだったシエルが、恐る恐る自分から舌を絡めてみると・・・
ピクッとセバスチャンが反応した。
「・・んっ、ぼっちゃ・・・っ」
拙いながらも懸命に舌を絡めてくるシエルに、セバスチャンの理性も限界だった。
(このままではまずいですね・・・っ)
後戻りできなくなる前に・・・と、ゆっくりシエルから離れた。
「んぅ・・・?」
シエルが息を整えながら上目遣いでこちらを見てくる。
(あんまり煽られるとつらいです、坊っちゃん。)
「・・・坊っちゃん、本日はここまでにいたしましょう。長風呂しすぎてお風邪をひいては大変ですので。」
「・・わ・・・かった・・//」
「いかがでしたか?初めての深いキスは?」
「よ、よかった・・・///」
「それはよかったです。さ、坊っちゃん、お身体を拭きましょう。」
セバスチャンはシエルを湯船から出し、タオルで包みこんで抱きしめた。
「セバスチャン・・・?」
「なんですか?」
「・・・クラクラする。」
「え"。」
ズシッ
「ちょっと坊っちゃん・・・?坊っちゃんっ!?」
長風呂のせいでのぼせてしまい、気絶してしまった坊っちゃんなのでした。
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