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④
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「‥いつまで寝ているのだよ」
「‥‥‥んー?」
「もう夕方だ」
「‥‥‥‥‥マジで!!?」
身体を揺さぶられ遠くから聞こえてくる声に睡眠を経たれ耳に入ってきた言葉に思わずガバっと勢い良く上半身を起き上がらせた。
急に起き上がった俺にびっくりしたのか緑間が目を見開いたものの数秒してからハァと溜息を漏らした。
「朝方まで起きてるからこういうことになるのだよ」
そう昨夜は何だかすぐに寝つけなかった。
慣れない場所というのもあるが、一番の理由は青峰のことを考えていたから。
もし日本で見つかってしまったらどういう顔をしたら良いのかなんて言葉をかけたら良いのかぐるぐると考えてしまい気がついた時には朝方だった。
考えるのをやめた時に睡魔がさしたのかそのまま眠ってしまったのだけれどまさかこんな時間まで眠っていたとは思わなかった。
「‥‥てか緑間、お前仕事は!?」
「もう終わった。さっき帰ってきたのだよ」
「あ‥そうか。」
それにしても幾ら朝方に眠りについたからといってざっと計算すれば長時間眠っていたことになる。
その所為なのかなんだか身体が重く気だるい。
ふぁぁと欠伸をこぼせば緑間が口を挟む。
「マンションの管理人も帰ってしまったしもう一泊していけ」
「へ?」
「何度も言わせるな」
聞き間違えではなかった。
言葉は偉そうに聞こえるが緑間は充分優しかった。
もう一泊させてもらえることに何かお礼に料理を作ろうか、と持ちかければ「じゃあ食材を買いに行こう」と返答が返ってくる。
「かがみん?」
二人で食材を揃えにマンションから徒歩で行けるとあるスーパーに立ち寄っていた時だった。
後ろから聞き覚えのある声が俺に呼びかけてきた。
振り返れば昨日も顔を合わせた桃井と黒子が肩を並べて俺達と同様食材を選んでいた。
「‥‥と緑間君‥お久しぶりですね」
「おい黒子お前ってキセキの奴らと全然会ってなかったのか?」
「この歳になったら同じ日本に居てもなかなか会えることはなかったので」
毎回同じことを言っていないかと黒子に口を挟めばそう返答される。
「久しぶりだな黒子と桃井」
「やだーっみどりんなんか老けたぁー?」
桃井の容赦ない言葉が緑間に突き刺さる。
失礼だろと緑間が返答し黒子が疑問に思ったのか
「火神君と緑間君て仲良かったんですか?」
「‥‥いや偶然マンションが隣同士だったのだよ」
きっぱりと緑間がそういいきる。
そんな言葉にもうちょっと他に言葉はなかったのかと横目で緑間を見ればなんだか頬を赤らめていたのでまた疑問符が浮かびあがる。
「もう食材選んだのか?」
「ううんまだ何作るか決めてないの!」
「‥じゃあお前らの分も作ってやるよ」
「え、本当!?かがみんの料理って美味しいんだよねー私も一回食べて見たかったんだー」
何を勝手なことを、と今度は緑間から横目で視線を感じるが意見を押し切った。
「何か手伝おうか?」
四人揃って緑間のマンションに帰宅し早速料理を作ろうかとキッチンに立てば桃井が近寄ってきた。
「‥‥じゃあ野菜とか洗っといて」
そう指示すれば桃井は小さな声で会話を持ちかけてきた。
「‥‥ねぇかがみん」
「ん?」
「‥大ちゃんさーもう日本につくんだってー」
ガシャンッと思わず桃井のその言葉に手に持っていた包丁を流し台に落としてしまった。
怪我はない?と慌てて桃井が心配してくれる。
緑間と黒子はリビングのテレビの音で聞こえなかったのかその音には気付いていない。
「あー大丈夫、大丈夫‥つい手が揺るんだ」
「ならいいけど‥‥‥かがみんのこと相当気にかけてるんだね大ちゃんって」
「‥‥‥」
言葉が出てこない。
無視をした訳ではないのは桃井も承知している。
「かがみんにこんなこと言うのもアレなんだけど、やっぱり一回大ちゃんに会ってあげて!」
「‥‥‥あー‥やっぱそうだよな」
俺の空返事に「そんな急にじゃなくてもいいからね!」と言葉が続く。
けれど一体どんな顔してもう一度青峰に会ったら良いのか全く分からない。
するといつから目の前に居たのか「火神君なら大丈夫、思ってたことを口にするだけで良いんですよ」と黒子がにっこり微笑んで居た。
こんな場面はなんだか懐かしい気がする。
高校時代もバスケのことで悩んでいる時、黒子が今見たいに『大丈夫』と背中を押してくれたことがあった。
「‥‥いつになるかまだ分かんねーけどちゃんと青峰と向き合ってみる」
「偉い!かがみん」
「だからさ、もし青峰に会ったらもうちょっと時間くれって伝えて欲しいんだ」
「分かりましたその言葉、青峰君に僕達がちゃんと伝えておきます」
「有難うな‥黒子に桃井」
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