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⑥
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緊張で手に汗をかいているのかぎゅっと拳を作ればぬるっとした感覚が自身に伝わる。
今にも逃げ出してしまいたいけれど先程黒子が口にした『大丈夫』という言葉が咄嗟に頭を過った。
心の準備をさせてくれる間もなく約一ヶ月ぶりに見た青峰が玄関から緑間の後に続いて現れた。
‥‥ダメだやっぱり今はと目に涙がたまった時だった。
咄嗟のことに何が起こったのかわからなかったが自身の身体がぎゅっと優しく抱きしめられた。
「おい青峰‥‥火神は今俺と付き合っているのだよ」
「は?‥‥笑えねー冗談はやめろよマヂで」
「俺は火神が好きだ、嘘はいってない」
優しく抱きしめたのは緑間だった。
どうやら俺が今はまだ無理だと云うのを感じ取ってくれたのか青峰を視界にうつらないように抱きしめていてくれた。
けれどまさか緑間がそんな嘘を口にするなんて思ってなく思わず驚いて緑間から離れた時だった。
ーガンッ
と鈍い音がしたと思えば青峰が緑間の顔を殴っていた。
無防備な状態だった緑間は当然勢いのある青峰のパンチで後ろに倒れ込んだ。
「‥‥緑間!!‥‥‥青峰ッ!お前なんで殴ったりなんか‥‥」
「決まってんだろーがっ緑間がしょうもない嘘ついたからだ」
「‥‥だから嘘はついていないと言っているのだよ」
倒れ込んだ緑間に駆け寄ったと同時に倒れ込んだ身体をむくりと起き上がらせ今度は緑間が青峰に殴りかかる。
「おい‥やめろって!お前ら!」
そんな俺の声なんて二人の耳には届いていないのか掴みあいの喧嘩に発展してしまう。
どうにかして止めなければと困惑した矢先ー‥
「君達って本当つくづく似た者どうしですよねマイペースな処も」
バッシャーンと掴みあっていた二人の真後ろからバケツに入っていただろう水がぶっかけられた。
誰がぶっかけたのかは視界に入った瞬間分かった。
「‥‥黒子」
「テツ‥てめぇ何すんだ!冷てーじゃねぇか」
「‥‥黒子‥‥ここは俺の部屋なのだが‥」
こんな真冬にいくら暖房が効いている部屋でも冷水をかけられてしまえば寒いのはこのうえなく青峰も緑間もそれで落ち着いたのか掴みあっていたのをやめた。
バスタオル、バスタオルと緑間に場所を教えてもらいそれを二人に手渡す。
一瞬バスタオルを青峰に渡した時青峰と視線がぶつかりそのさいに小さな舌打ちが耳に入ればそれを見て黙っていた黒子が青峰の頭にもう空っぽのバケツを投げつけた。
「‥痛っーーおいテツさっきから酷くねぇか!」
「君が火神君に舌打ちしたからでしょ」
「違‥‥こんなみっともないとこ見られたから自分に舌打ちしたんだよっ」
舌打ちが聞こえズキっと胸が痛くなったがその後の青峰の言葉になんだか今度はドキッと胸が高鳴った。
ーーなんだろうこの胸の高鳴りは。
「それにしても黒子なんでここに戻ってきたんだ?‥そのバケツも‥」
「何か胸騒ぎがして桃井さん送って戻ってきたんですよ。バケツは玄関先から怒鳴り声が聞こえたので風呂場から水をいれて拝借してきました。」
淡々と話を続ける黒子。
バスタオルを頭から被った青峰と緑間は視線が被る度に目線で火花を散らしている。
そんな二人を見て「今度は二人とも順番に殴りましょうか?」と脅しをかけるものだから睨み合うのもやめた。
「‥‥ーーで火神くん、青峰君と話す気になったんですか?」
風呂に入ってくると言った緑間がリビングから居なくなったのと同時に会話を切り出した黒子。
急に投げかけられた言葉に思わず何も答えられずにいれば青峰が口を開いた。
「なぁ火神‥‥本当に緑間とはなんもねぇんだよな?」
さっきまで嘘だって緑間の言葉を信じていない様に見えたのに案外気にしていたのかなんだかそわそわした様に静かな声で問いかけてきた。
「‥‥なんもねぇよ」
「‥‥そっか」
良かったわーと胸を撫で下ろす青峰に何故今までこいつから逃げていたのかと不思議に思ってしまった。
「あのさー‥青峰」
「良い雰囲気になるなら他所でやって欲しいのだよ」
「‥わ、悪ぃ」
むすっとした緑間がもうシャワーを浴びてきたのかドライヤーを片手にリビングに戻ってきた。
すぐさま謝罪する火神に緑間が視線を逸らす。
「緑間君‥やきも‥」
「うるさいぞ黒子」
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