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報告
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「…やっぱり、まんじゅうってお土産の王道か…」
前島兄弟が真白の買ってきたお土産を見て言った。真白は社に着いてフロアにあるミーティングテーブルの上に、新舞浜市フロンティアで購入したお土産を広げた。新舞浜市のゆるキャラがプリントされたまんじゅうと、●の月の様な物も購入してきた。自社も開発に携わっていたが、行った事がない新入社員の山村は興味津津だった。街はとても未来的でキレイだったし、波でユラユラと揺れている感覚もなかった。住むには良い場所かもしれないと、真白はみんなに話す。
「水上、戻ってきたね」
いつもの優しい微笑みを真白に向けながら、佐伯が部のフロアに来た。みな、おはようございますと、挨拶をしている所を見ると、今日は初めてここへ来たのだろう。確か午前中は会議が詰まってると言っていた。真白は朝、同じ部屋から出社した愛しい人に、みんなと同じように挨拶をする。すると、佐伯が目の奥で真白をからかうような瞳を向けて笑った。真白はそれに負けずに、にっこりと微笑む。
「で、どうだった? 鮫島捜査官と話してきたんだろ?」
「はい。切れ者だって聞きましたけど…優しそうな良い感じの人でした。報告書以外の事を聞かれたんですけど…あ、前島さん、俺が手当受けてるとき旧役所の屋上に何かありませんでした?」
「ん? なんかあった?」
「何か光ったような気がしたんですが、俺も見間違いだと思って」
「光った?」
佐伯は真白を見て聞く。初耳だった。真白は慌てて、さっき思いだしたばかりだということを佐伯に伝える。別に黙っていた訳ではない。佐伯はニッコリと微笑んで、別に怒ってないよ、大丈夫と言ってくれた。真白はそれに安堵する。
「でも、本当に見間違いだと…思うんですよね…屋上に特に何もなかったですよね…?」
「んー確かに、保安部の報告書も他の部の報告書にも屋上は特に不審な物はなかったな…」
前島部長が顎に手をやり、天井を見上げて言う。佐伯も、報告書は全部隅々まで読んだが屋上に関する気になる点はなかった。鮫島は一体何が知りたかったのか。ただ佐伯は別の事が気になっていた。鮫島がなぜ、真白だけを呼び寄せたかだった。おおよそ予想はついていたのだが。それは後で、真白に聞けばいいだろうと特にその場で聞く事はしなかった。
今日は、佐伯の方が先にマンションへ帰宅した。真白は午前中に出来なかった仕事をしてから帰ると連絡があった。真白を待っている間、風呂を入れる。真白は暑がりで、寒がりだ。冬はいつも寒くて仕方ないと笑って言っていた。ちゃんと湯船に浸かれるようにと、佐伯は湯船を張る。そして、その足で書斎へ向かった。最近の国のマモン対策室の動向は役員の間で少し話題になった。佐伯の兄達も気にしている。暫く、その動向を調べていると真白が帰って来た気配を感じた。
「ただ今戻りました、佐伯さん」
書斎のドアからヒョコっと真白が笑顔で顔を出す。頬が少し赤い。寒い中駅から歩いてきたようだ。佐伯はデスクの端末を切り、椅子から立ち上がり、真白を抱きしめた。真白も佐伯の背中を抱きしめる。二人は触れるだけのキスを何度かし、深く唇を重ねた。
「おかえり、真白。冷たくなってるね。湯船張ってあるから入って体を温めなさい」
「そうですね、そうさせて頂きます。今日は急に寒くなりましたね…」
真白は少し悴んだ手を摩り合わせた。佐伯は真白の手を取って、ホントに冷たいね、と言い、風呂へ促した。真白もさっそく部屋へ着替えを取って、風呂へ向かった。
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