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8月24日の会議室
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同棲…いや、表向きはルームシェアだけど。
したい。
窪田と暮らしたい。
思いつきで言ったつもりが、俺自身、口に出したことでなんだかリアルに感じて、本気で実現させたくなっている。
ただ、窪田自身はあまり乗り気ではないし、引っ越したら人事に報告したり、手続きが何かと面倒なことになる。
俺たちの同棲は、簡単ではなさそうだ。
「お、時間だな」
鳴り出したアラームを止めて、俺はフロア奥の課長の席に視線を送った。
これから課長と2人で会議に出席する。
社長がやりたくて仕方のなかった、物流センターの建て替えが決まったんだ。
話を聞いた時は他人ごとだった。しかし蓋を開けてみれば、なんと俺も関わることになっていたのだ。
「課長、そろそろ行きますか」
「そうだな」
課長も腕時計を確認して立ち上がった。
ホワイトボードの〝会議〟マグネットを移動させて、2人で会議室に向かう。
俺が今まで関わってきた中でも大きな仕事で、今までの業務より忙しくなりそうだ。
「…はぁ」
万が一残業まみれになるのなら、やっぱり同棲したいよなぁ。
どんなに疲れていても、家に帰って窪田がいるのなら俺はいくらでも頑張れる。
ヘトヘトで帰ってシャワー浴びて寝るだけ…。
でもそこには、窪田がベッドを〝半分空けて〟眠っているんだ。
「フフ…ウフフフ」
凄え。
俺、それなら社畜と呼ばれもいい!!!
「おーい、橘くん。最近仕事は調子いいみたいだけど…………なんていうか、ヤバイものやってないだろうね?」
「…え⁈あ?い、いえ、やってないです!絶好調なだけです」
課長の顔が明らかに不審がっている。
イカン、これだから最近、山田にバカにされまくるんだ。
いいか?
俺は仕事はマジメにやってるぞ?
ただ、ふとした瞬間に同棲にまつわる妄想をしちゃうんだよ。
その妄想のおかげで仕事のモチベーションも上がるんだし、悪いことじゃないよな?
俺の顔面なんて、多少緩んだっていいだろ?
「失礼します」
変なテンションを落ち着かせるために深呼吸して、俺は課長に続いて会議室に入った。
他の社員も今来たばかりの様子で、室内はざわついている。
そんな中、すでに席についてものすごい勢いで資料をめくっている社員がいた。
「く、窪田⁈」
思わず大きな声で呼ぶと、窪田が顔を上げてこちらを見た。
まったくの無表情で眉ひとつ動かさなかったが、窪田も驚いているようだ。
「お前も建て替えにかかわるのか!そういえば最近、仕事の話してなかったもんな」
「……」
「まぁ、お手柔らかに頼むな!」
窪田は小さく頷いた。
窪田の隣には経営企画部の若い部長が座っている。…ええと…そう、春日さん。
春日さんにも会釈して、俺はワクワクしながら席に着いた。
何しろ、窪田と同じ会議に出席するのは初めてだからな!
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