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お家デート。
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カタリ。雀が飲み物をテーブルに置いた。
「ねぇ、誘ってるの?」
そして今だにベッドに顔を埋める俺の上に、覆いかぶさった。
段々と近づいて来る顔。
このままキスされるのかなってスローモーションのように雀の動きを追った。
「ーーっ!!」
ドン!!
「いたっ」
「あ、ご、ごめんな...」
俺は思わず雀を突き飛ばしてしまった。
だって。あの時の痛くて、悲しくて堪らない思い出が、脳裏をよぎってしまったから。
雀は何も言わず、俺を優しく抱きしめた。
ゆるーく頭を撫でて、初めて会った時のように。
「俺も、ごめんね」
「雀は悪くない...」
雀は悪くないって言ってるのに、雀はごめんねって謝りながら頭を撫でた。
その温かさに、涙がじんわり滲んで溢れた。
「ほら、また泣く。ジュース飲みな。干からびちゃうよ」
そう言ってコップを差し出す雀はいつもの雀だったから、俺もいつものように笑えた。
本当に雀は俺のこと分かってくれてんだなって思う。
恥ずかしくて、雀がニヤニヤするから面と向かっては言えないけど本当に好きだ。雀が、大好きだ。
「水分補給した?じゃあ何しようか」
「え、何も決めてないのに呼んだのかよ」
「え?予定を全部分刻みで立てて欲しかったの?伊吹は」
「そうじゃないけど...」
言葉に詰まりながら、雀の部屋をぐるりと見渡す。
その時目に入ったのは、中学校の卒業アルバムだった。
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