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梓と林檎。
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「思えばさ、郁とは中学からの付き合いなんだよね」
「そ、そうですね....」
チラリ、と草薙先輩を見れば穏やかな顔で遠くを見ている。
「郁には、情けない所もいっぱい見られてるね。特に、高校に入ってからは」
「そ、そんな事ないです!草薙先輩は、情けなくないです!」
「うん、ありがとう。.....気付けば、郁はいつも隣にいてくれて、俺の変化に気付いてくれてたね」
草薙先輩は何が言いたいのだろう。
僕はその答えを知っているような気がしたけれど、そんなまさかって気持ちの方が勝っていて。
それでも胸のドキドキは止まらなかった。
「なのに俺は郁の事に何も気付けなかった」
不意に、草薙先輩の目が僕を捉えて。
その綺麗な手が僕の髪を優しくかきあげた。
「こんなに一途で、健気で、可愛いのにね....」
こつん、と額がくっついて大好きな草薙先輩の顔が目の前にあった。
「俺が宮下にフラれた日、郁と図書室であったよね。その時に聞いちゃったんだ。郁の想いと本音」
どきりと胸が強く脈打つ。
まさかあの時の独り言を聞かれてたなんて....!
「あれからずっと気になった。郁は俺が誰を好きでも思ってくれてたんだって分かったら、愛しくてたまらなかった」
唇が触れ合うすれすれ。
ううん、もうくっついてる。
だって、唇に少し柔らかいのが当たってるもん。
「郁、好きだよ———」
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