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それは叶わない夢。
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それから、草薙は俺と柳瀬がつるんでると近くに寄ってくるようになった。
俺としては嬉しいけど、邪魔者だから草薙が来ればそっと席を外した。
その際、チラリと振り返れば草薙が申し訳なさそうに俺に笑いかけた。
それだけで、嬉しかった。
好きな人の幸せは、誰だって願うだろ。
そんな事が続いているある日。
放課後、先生に呼ばれて用事を済ませた後俺は教室に足早に向かっていた。
遅くなりそうだから、と言ったのに柳瀬は待つと言ってくれたからだ。
もうすぐで教室。もう誰もいない校舎に、珍しく草薙の荒い声が上がった。
「だからっ!好きな人って誰なんだよ!それも知らないで諦めろの一点張りは無いだろ!」
そうか....。あの日から柳瀬にずっと。
だけど柳瀬は好きな人がいるって言ったもんな。
やがて、柳瀬の舌打ちする音が聞こえて。
「分かんだろ...宮下だよ」
俺は頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。
思わず、教室に飛び込む。
「おい、柳瀬!言い訳に俺を使うなよ!」
急に飛び出した俺にビックリしたような2人。
だけど柳瀬はすぐ真剣な表情になった。
「俺は本気だ。お前がずっと好きだった、宮下」
俺はそんな柳瀬の目が怖くて、思わず草薙を見る。
「....っ!」
草薙は、悲しそうな、悔しそうな、そんな顔を浮かべていた。
好きな人にこんな表情させてしまうなんて。
「俺は.....草薙が、好き、なのに...」
ポロリと言葉が漏れた。
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