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高校生の関君 4
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「そういやさ、なんで関は、ミサオって呼び捨てなわけ?」
・・・・・ええと、なんで・・でしょうか?溝口君。
「お前が知り合いなら、俺も知ってるわけじゃん?でも全然記憶ねえし。」
俺の知り合い=溝口の知り合い。 この図式はなんだ?
小学校から同窓だっていうだけで、常に同じクラスじゃないだろうが!
「こう言っちゃなんだけど、関のことなら俺けっこう知ってる。色々知ってる。」
・・・・ええと、なんで・・・しょうか。
こういう時の危険を察知する能力は、もちろんマイノリティーゆえの本能だ。
避けてとおるべきところは穏便に。
笑ってごまかせるなら完璧に。
キリっと気を引き締めた俺を見て、溝口は薄く笑った。
「俺にとっちゃさ、どってことないし。別にいいんじゃね?」
さて、「そうか」と返すべきか。「何言ってんのお前、意味わかんね~」が正解か?
前者は溝口のいう「何か」のことを肯定することになる。
後者はさらにツッコまれる可能性が大。
どちらも不本意極まりなし。
「来月卒業するんだぜ?お互い別々じゃん。」
溝口の今言った事は、その前の話に関係あるのか?ないのか?どっちなんだ・・・。
関係あるなしに関わらず、溝口は卒業して東京の大学にいく。
さぞかし大学生満喫君になってチャライ生活を送るに違いない。
俺は・・・少し離れたちょっと都会の寿司屋に行く。修行ってやつだ。
公務員も考えた。市役所にはいって堅実で確実な人生を送る。
いい考えに思えた。
だがしかし、一生独身のまま役所にいて違和感なく過ごせるのだろうかと思い当たったわけだ。
『関君、そろそろお年頃じゃないか?』なんて周囲に言われて、どうしろというのだ。
社会にでたら突然変異でノーマルに成り変わるとか?ありえません。
考えはじめたら色々なことで沢山の言い訳をしなくちゃ生きていかれないだろうと、容易に予測できた。
そう考えたら教師ってのも大変そうだし、普通に会社に勤めるのだって・・・同じだ。
そうなると誰の迷惑にもならずに、自分を食べさせることのできる職業、すなわち職人系だ。
作家や美容関係、デザイナーやらそういう世界はゲイが多いってのは、それが原因じゃないのか?
と思い至ったのである。
普通じゃないから、自分で何とかする世界にすんなり入っていく覚悟が、初めからあるんじゃないか?ってね。
そこで俺がひらめいたのは寿司職人だ。白い白衣をキリっと着て、冷たくてきれいな指と清潔感あふれる身のこなし。柳包丁で刺身をひいている姿なんて、かなり格好いいじゃないか。
道のりは厳しいけれど、自分の店を持って自分を食べさせることができれば、一生独身だろうが、同性の恋人を持とうが迷惑はかけないはずだし、相手を守ることもリーマン系よりはできる。
それで、あっさり寿司職人を目指すことに決めたわけだ。
他のジャンルじゃないのは、やはりキリっとした感が抜群に思えるからかな。
最後の晩餐は絶対寿司と決めているので、自ら握って食し、最期をを待つというのも潔い。
(若さゼロで、スイマセン)
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