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7ページ目 19 弟side
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しばらく閉じられた玄関を見つめていた。
「けーた。」
ガキがツンツンと服の裾を引っ張った。
「火、付けて。」
そう言って一本の手持ち花火を寄越してきた。
「それより先にこれ食おうぜ。」
玄関の前に並んで腰掛けて八分の一サイズのスイカにかぶりつく。
これは今日の為にあらかじめ購入しておいたものだ。
「なにやってるの?」
「塩かけてる。」
「それおいしい?」
「まぁそれなりに。」
スイカに塩というのは定番だと思うのだがこいつは知らないのだろうか。じっと見られているのが鬱陶しくて塩を渡すと俺に倣って少しだけ塩をかけて口に含んでいた。
「…へんな味がする。」
顔を引き攣らせて口を歪めて面白い顔をした。
家の中からは、賑やかな声が聞こえる。優子さんには逆らえない。どうせまた飲まされているのだろう。
「ゆーといなくて寂し?」
口の周りにスイカの果汁をべったり付けたガキが俺を見上げて言う。
「後が面倒臭いなって思っただけ。」
スイカを食べた後、残りの花火を全部使い切って後片付けをした。
中に入ってキッチンへ行くと案の定。テーブルの上には今日買ってきたものなのかうちにあったものなのか、酒瓶が所狭しと並んでいた。
「けんたぁー。」
「やだ!!」
「優斗くぅん、健太が冷たい。」
既に出来上がったガキの母親がガキに向かって両手を広げた。ガキが後ろに回り込んで俺を盾にしている様子を見た母親は、隣に座る兄貴の腕に抱きついた。
「ケイ、風呂入ってきな。」
優子さんがグラスを傾けながら言う。
「けんたぁ~行っちゃやだぁー!!」
とにかくここはガキには悪影響だと思った。
「兄貴、後で迎えくるから。」
「ん。そうしてくれると助かる。」
兄貴はまだ飲んでいないのか、ほとほと困り果てた顔をしていた。でもこの環境だ。飲まされるのは時間の問題。
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