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肌寒さに目を覚ます。
布団を掛けずに眠っていたようだ。明りは付けっぱなしで、外はまだ暗かった。
きっと弟が閉め忘れたのだろう。窓が開いており、寒さを助長させていた。
明りを消し、窓を閉めようと身体を起こし、俺に背を向けて眠る弟を跨いでベッドを抜け出すと背中に刺すような視線を感じる。
振り返ると眠っていると思っていた弟が俺を睨みつけていた。
「兄貴手解いてよ!!」
「は!?」
弟が珍しく声を張った。ぼんやりしていた頭が一気に覚醒する。
ただ事ではない雰囲気に勢いよく布団を剥がすと、弟の両手が縛められていることに気付く。
「ちょっとどうしたの、これ!」
弟を抱き起こし、急いで結び目に手を掛けた。
「あんただよ!!」
すぐ耳元で弟が怒鳴り声を上げた。
「え、俺?」
全く記憶にない。驚いて手を止める。
「すげぇ怖かったんだから!もうビール飲まないでよ…。」
そう言って肩に頭を押しつけられた。
「え、と、ごめん!俺が悪かったから泣かないで…。」
「泣いてねぇよ!!痛いんだから早くなんとかしろよ!!」
肩から上げられた顔は怒りで真っ赤に染まり、吊りあがった目は涙で潤んでいた。
「ちょ、近所迷惑だから声抑えて…。」
「あんたのせいだろ!!」
弟の勢いに気押されて解きにかかるが頑丈に縛められており解ける気配はない。ハサミを持ってきたが紐が皮膚に食い込んでいて刃を滑り込ますことはできそうになかった。
悪戯に使っても怪我をするだけだ。道具を使うことを諦め、素手で格闘すること数十分、なんとか解くことに成功する。
弟の手首には見るも無残な赤黒い紐の痕がくっきり付いてしまっていた。
「痛かったな。ごめんな、けーた。」
ベッドに腰掛ける弟の前にしゃがみこみ顔を見上げながら親指の腹で零れ出た涙を拭ってやる。
「………いいよ、別に。」
自由になった手で俺の手を払い、乱暴に目元を擦りながら素っ気なく言った。
「怖かったな。もうしないから。」
立ち上がり、弟の頭を抱きしめる。
「ほんと…ごめん。」
「…もういいって言ってんじゃん!しつこい!!」
そう言いながら俺の腰に腕を回しぎゅっと服を掴んだ。
謝って何とか許してもらったけれどしばらく禁酒令が出たことは言うまでもない。
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