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12ページ目 20 弟side
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「気のせいじゃないの?ただ口が重なっただけだよ。」
「舌、入れられたんだけど。」
息を呑む音が聞こえた。
「夢の中のあんたは誰とキスしたの?」
「…覚えてない。忘れたよ。」
自分は嘘をつくのが下手だと、自覚した方がいい。伏せられた目が斜め下の方向を見た。居心地悪い時、後ろめたいことがある時兄貴は斜め下にある物、或いは床の一点を凝視する癖がある。
「誰を抱いた夢を見たの。」
畳みかけるように再度問い詰める。
「だから、そんなんじゃないってば!」
兄貴が苛立たしげに声を荒げた。
――「そんなん」って何?
「覚えてない」んでしょ?
「忘れた」んじゃないの?
「なら、誰に抱かれた夢を見たの。」
「そんなことあるわけないだろ!」
「じゃあ夢の中のあんたは誰を抱いてたの!」
嫌悪感剥き出しにする兄貴に負けじと声を張った。
兄貴が何か言いたげな顔をして口を噤んだ。それだけで俺の不安を煽るには充分だった。
「どうして俺だって言ってくれないの…?酷いよ、兄貴。どうして俺以外の奴を抱くの?あんたのこと世界で一番好きなのは俺なのに。」
違うと言ってほしかったのに。
兄貴は鏡越しに俺の姿を見つめているだけだった。
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