アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
13ページ目 2 弟side
-
「座りなよ。」
「…失礼します。」
彼女に促されるがまま正面の席に腰を下ろした。一体兄貴はどういうつもりでここへ来たのだろう。何故、俺と彼女を二人きりにした?
「私がお願いしたの。」
「は?」
俺の疑問に答えるかのように彼女が口を開いた。兄貴の背中から彼女に視線を移す。
「だってあなたにメールしても返って来ないんだもん。電話も無視されるし。」
「メールは滅多に開かないし、知らない番号は出ない。」
そう言えば以前連絡先を交換したことがあった。すぐに削除したけど。
「学校帰り?」
彼女は小さく笑ってすぐに話題を変えた。制服姿の俺を見て呑気に訊ねる彼女にイライラする。
いつもは日曜日の朝には帰るから着替えてくるのだが、今回は月曜日の朝直接兄貴のところから学校へ行くことを優子さんが許可してくれた。
「俺に用事って言ってたけど、何?」
「お待たせ。」
本題を切りだそうとしたところで兄貴が戻ってきた。頬杖をつく俺の目の前にコーヒーカップ2つとケーキが乗ったトレーが置かれた。
「啓太、カフェオレでいい?」
俺に訊ねながら隣の椅子を引く。
「内田さん、ケーキどうぞ。」
「いいの?ありがとう!」
視線を窓の外に移して大きく息を吐いた。居心地が悪い。早くここを立ち去りたい。
「優斗くん、今何やってるの?」
「駅前のカラオケでバイトしてる。」
「そうなんだ。今度遊びに行ってもいい?」
酷く退屈だ。兄貴が買ってきてくれたカフェオレを啜りながらバイトの話、就職の話をする二人の会話をぼんやり聞いていた。
「弟くん、これ。」
コーヒーカップが空になる頃、彼女が隣の席に置いていた紙袋を俺に向かって差し出した。
「優斗くんと2人でどうぞ。」
「要らない。」
やっぱりこの女、嫌いだ。
「まぁまぁ、貰っておけよ。」
兄貴がそう言うのを見越して俺に寄こしたのだろう。つくづく気に入らない。兄貴がそう言うから、大人しく受け取った。
彼女と別れ、帰路につく。
「兄貴、これ全部俺が貰っていい?」
「別にいいけど…。お前が貰ったものだし。」
これは優子さんにあげることにしよう。スーパーに寄って食材を買い込み、今度こそ兄貴のアパートに足を向けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
195 / 228