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ぬくもり
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「イチゴとブルーベリーどっちがいい?」
部屋にもどってきた伊藤さんは可愛い入れ物にイチゴが入ったヨーグルトとブルーベリーが入ってるやつを両手に持っていた。
ヨーグルトなんて3年以上は食べてないから正直どっちも食べたかった。
うーん…
「両方食べようか?」
「そんなに食べれないよ」
「残りは僕が食べるから」
ね?って微笑んでくれる伊藤さんを不思議に思う。
「なんで僕に優しいの?」
「え?ああ、柚月くんが可愛いからかな?」
「…」
ーーーっ
なにこの人なんでそんなこと言うのかな!
「バカじゃないの」
「はいはい、取り敢えず早く食べて」
この人はそうやって恥ずかしい事とか平気に言うし僕をからかって遊んでるから本当に苦手!
でも、伊藤さんが居てくれて、すこし嬉しかったりする。
「……と」
「え?なに?」
「…一緒に居てくれて……その…ありがと…」
そう言うと伊藤さんは何故か悲しそうな顔をしながらまた僕の頭を撫でてくれた。
*******
『お父さん、運動会…どうして見に来たの?』
『え?嫌だった??』
『嫌…じゃないよ…でもお仕事あるじゃん』
『運動会での柚月を観たかったから来たんだよ?お仕事なんて柚月の次の次だよ』
『僕のせいでお仕事行けなかったんじゃん…』
『柚月?いい加減怒るよ?柚月のせいじゃなくて、俺が勝手に柚月を観たかったから休んだの!』
『うぅ…』
『わかった?』
『うん…ごめんね…お仕事お休みにさせて』
『はぁ…いいか、こういう時は謝るんじゃなくて、ありがとうって言うんだぞ』
『ありがとう?』
『そうだ』
『お父さん』
『んー?』
『来てくれてありがとう』
『そう、いい子だね、柚月は』
そう言って彼は僕の頭を撫でてくれた。
『お父さん大好き!』
『柚月はほんっと可愛いなぁ…お父さんも柚月が大好きだよ』
大好き…
誰だっけ。
僕に大好きって言ってくれた人は。
久々に見た夢は、僕が知らない僕の夢だった。
懐かしく感じる…
でも、あんな事、僕の記憶にはなくて
無性に泣きたくなった。
「お父さん…っ」
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