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新しい光
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「俺はさっき会ったよね?あきらさんでいいよ。」
それから橘さんがお化粧に使うブラシとかを綺麗に並べながら僕に手を振った。
店長は僕を桐島さんに押し付けるようにして
「お前が芹沢くんの面倒みてやれば?」
とだけ言って、裏に戻って行った。
店長が裏に戻っていく間に
「今度は沢田さんにカット頼みたいな」
と1人の女性客に声を掛けられていた。
沢田さんっていうんだ。
そしたら店長は普段の冷たい表情からして考えられないくらいの笑顔で
「あ、そう?じゃあ次はご指名待ってるね」
と言い放ち裏に戻って行った。
え、あの人笑えるの?
店長がいなくなったら他の女性客3人くらいに
「新人さん可愛い子ですね」
とか
「誰のアシスタントさんなの?」
とか声をかけられて、ちょっとテンパってる僕を見て「大丈夫だよ」と桐島さんが僕の頭を撫でてくれた。
僕の周りにいる人達って頭撫でるの好きだね。
「この子バイトで、アシスタントとかではないんですよー。
おいあきら、お前暇なら芹沢くんになんかやる事あげてやれ」
「あ、わかりました。芹沢くん、おいでー」
行ってもいいのかわかんないからチラッと桐島さんを見たら
「手の事言ってないから安心して。ここにいる人達はみんな優しいし、店長もちょっと冷たそうだけど優しいから、なんか悩みとかあったら俺とか、店長とかに話してみな?」
「僕、悩んでるように見えますか?」
「まあ…ね。つい最近あきらもそんな顔してたから。
あ、恋愛とかの悩みだったらあきらに相談してみれば?あいつ割とそういうのわかる奴だし。
まあ、なんだ…つまり、ここはみんなが家族みたいなもんだから、俺たちの事をこれからは頼ってほしい。
もちろん、仕事もちゃんとする。
わかった?」
家族。
俊介さんが求めている家族というものにはどうしても僕は喜んで受け入れられないのに、
この人が言ってる、
ここのみんなを示す
『家族』
に心が揺れた。
この人達と、家族になりたいと思った。
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