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そして再会
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夜21時頃。
静達も食堂から帰ってきてそのまま副会長である宮下の部屋へと遊びに行っている時に、寝息を立てていた春樹がぼんやりと瞳を開けた。
「んぁ・・・?」
ぼんやりと霞みがかった視界と頭でここはどこだろうかと頭を捻る。
見たことがない部屋にここがどこだかわからなかったが、暫くぼんやりと辺りを見ているうちにここがどこだかわかった。
そっか、そうだった。
俺、誠美学園に来たんだった。
今何時だろう?
春樹は枕元に置いてあった携帯を手繰り寄せて時間を見る。
暗い室内に光が急に点ったことに一瞬目が眩んだ。
「21時15分・・・どうりで腹が減るわけだ」
主張しているかのようにお腹がぐうぅ、と鳴った。
この時間って食堂開いてんの?
「どうしよ」
親臨学園ではまだ開いていたがこの学園はどうだろうか。
「行ってみるかなぁ」
そうぼそりと呟いて、重い腰を無理やり上げた。
カードキーと携帯だけ持って静かな部屋を出る。
そのまま、エレベーターに乗ろうとボタンを押したところでちょうど扉が開いた。
どうやらエレベーターにはすでに人が乗っていたようだ。
少し俯きながら下の階のボタンを押そうとした時、声がかけられた。
「清水・・・・?」
数時間前にも聞いたことのある艶やかな印象のある声だった。
俺はこの声の主を知っている。
さっと後ろにいるであろう人物の方へと振り返るとそこには、昼間見た時より疲れた顔をしている柏木だった。
「かしわぎかいちょう・・・?」
まさかまたこんな短時間で会うとは思わず、呆気にとられてしまう。
それは柏木も同様だった。
「こんな時間に外に出てどうしたんだ?」
「お腹空いたんで食堂に行ってみようかと・・・・」
「この時間は食堂は閉まってるぞ?」
「え・・・・」
当然のように言われてしまった言葉に固まる春樹。
この学園は閉まってるのかよ・・・
「あー・・・自炊かなぁ、あ、でも食材あるのかな」
春樹は小さな声で代案を出したが、同室である神崎のことを思い出して「あいつ自炊とかしなさそう」なんて思ってしまってからどうしようかと考え込んでしまう。
そんな春樹を見て、柏木は首を傾げて聞いてきた。
「清水は料理ができるのか?」
「人並みぐらいには・・・」
「そうか、なら今日は俺のも一緒に作ってくれないか?食費は出す」
「え?晩御飯食べてないんですか?」
「ああ、さっき仕事を切り上げてきたところだからな。食べてる暇なんかなかった」
苦笑しながらそう答える柏木に春樹は自然と眉を顰めてしまう。
寝る前に見た他の生徒会役員達を思い浮かべて不快な気分になった。
「これから何を食べる予定だったんですか?
「あぁ、部屋でも持ち帰った仕事をするからゼリー飲料かカロリーメイトなんかを・・・」
「それはご飯じゃないですね?」
なんとなく聞いてみたらとんでもない答えが出てきてびっくりだ。
こんなんじゃ、いつ倒れてもおかしくない。
放っておけるわけがなかった。
「この学園で食材を買えるとこはありますか?」
「あぁ、案内しよう」
それからの春樹は早かった。
食材を学園の中にあるスーパーで買い込んでまた戻るためにエレベーターへと乗り込む。
その際、柏木が9階のボタンを押した。
「俺の部屋で作ってくれ」
真っ直ぐ見られてなんだか気恥ずかしくなりながらもゆっくりと首を縦に振って、そのまま柏木の部屋へと向かった。
「901号室?」
そう、柏木の部屋へと着いたとき春樹は声に出していた。
「そうだ、どうかしたか?」
「あ、いや、俺801号室なんでこれ、俺の部屋の真上が柏木会長の部屋じゃないですかね?」
「あぁ、そうだな」
そう、少し笑いながら柏木は自分のカードキーを翳して部屋を開ける。
やっぱりどんな顔でも様になるけど笑った顔は別格だなぁなんて関係ないことを考えながら、促されるまま柏木の部屋へと入った。
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