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ニューワールドへようこそ
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…手渡されたポケットティッシュのオモテ面に挟まれた電話番号を見るのは、今回で二度目になる。
同じ広告文句の、同じ番号。0120で始まるTELの数字。
俺は今からこのポケットティッシュを一枚引き抜き、恋は再びカバンにそのティッシュを戻すのだろう。…したら、きっと、恋は今後このポケットティッシュを使う機会に出くわす度、俺のおしっこのことを思い出すに違いない。俺の下に出来た水たまりが、電話番号にインプットされてしまうんだ。深く深く刻まれた情景、匂い、温度。消えることのないその全てに、おれは興奮してしまう。
「…デジャヴ」
スニーカーに飛び散った水滴を軽く拭き、改めて顔を上げる。
どアップで視界に映る恋は目線を下に落とし、どこかウルウルとした瞳を俺から隠していた…ように見えた。ちらりとこちらを見ると、今度は釘付けになったようにお互い見つめ合ってしまう。
…どうも、17の年というのはドキドキすることがあまりにも多すぎるんじゃないだろうか…?
小さな身体ではとてもじゃないが処理しきれないくらいの甘酸っぱいハプニングが目白押しすぎる。これを喜ぶべきか否か?ってのはとりあえずその辺に置いといて…
そんなおれのハードスケジュールなドキドキに、好奇心旺盛な純白の天使を巻き込んでしまうのは…もしかしたら罪に値するのかもしれないけれど…。
ぎゅうっと握り締められてクシャクシャになった、恋の手の中のポケットティッシュを…ただただぽーっと見つめている。
…今はそれだけで、十分満たされてしまうような気分だった。
…だって、恥ずかしがるべきは俺なのに、恋が少女のような瞳で俺のことを見つめるものだから…!
「…あの…さ。振り向かずに聞いて欲しいんだけど…」
「…うん」
「今更だけどな…、その……、ここまで来てもまだ、恋は『全部なかったこと』に…できると思う…?」
「………無かったことにしたくない…じゃ…、だめかな…?」
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