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初めての部屋
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「先上がります」
26時。やっとバイトから解放された。
東京に来てびっくりしたのは、26時はまだ今日らしいということ。
おい待て、一日は24時間しかないぞ。
私服に着替えて、勝手口を出るとそこには天野さんが立っていた。
そういえば、迎えにくるって言ってたような。そんな大事なことを忘れるなんて。オーナーとの会話で全部ふっとんでた。
今日から、彼の家にお邪魔する。なりゆきだったが、本当によかったのだろうか。
荷物は全部家に置いてきた。
手元にあるのは、ケータイと財布のみ。
寂しいやつ。
「バイト、お疲れ」
天野さんは、笑顔で自分に声をかけてきた。
でも多分、彼の方が疲れてると思う。
「こんな時間にすいません」
「いいよ、俺もさっきまで収録だったし」
「こんな時間まで!」
「ラジオのね。俺らはすぐ帰れたけど、多分音響さんたちは完徹かも」
ふふっと笑う彼。
売れっ子も大変みたいだ。
でもそれ以上に彼の気の配りようが俺の心にぐっときた。
「俺ん家、東新宿のマックの横ね」
そう言うと歩きだした。
確かあそこら辺は結構いいマンションが並んでるような。
「ならいつも朝はマクドに?」
「そうそう、俺飯作れないから。って本当に大阪の子はマクドって言うんだ」
頷いて、関心された。
「俺大阪出身って言いましたっけ」
そう尋ねると、彼は子供のような悪戯っこの笑みになる。
「真鍋さんに聞いちゃった。初めてアフレコ練習一緒にやったとき、たまにイントネーション違うなーって思ってたからさ」
あのときか。
そういやワタルも言ってた。
「マジですか!俺それ直したいです」
「普段はだいじょうぶ標準語なんだけどねー。緊張してる時にたまに出てるから、意識すれば大丈夫だと思うよ」
的確な答え。
彼はいつも俺の欲しい答えを教えてくれる。
「さ!ここ、ここ」
話してるうちに、いつの間にか目的の場所へ着いたらしい。
目の前にはここらで一番大きいマンション。
待って、ここ俺知ってる。
すごい豪華ーって、前からかなり気になってたマンション。
入り口もしっかりセキュリティチェックがされている。
ええんか?!俺入ってもええんか?!
暗証番号4桁を入力して、自動ドアを潜ると、正面に二つのエレベーターがあった。
「11階の113号室だからー」
部屋の前についたとき、天野さんは財布からカードを出した。どうやらそれが鍵らしい。
どこのホテルや。
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