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初仕事前のミーティング
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「仕事が一件、入っています」
マネージャー、長谷川さんの言葉を待つ。
俺の初仕事。
「記者からの取材です」
アフレコじゃないのか。
ほっとした顔の俺を他所に、長谷川さんはキツく俺に言葉を投げた。
「普通、事務所持ちになった新人の声優には記者なんてきません。貴方は、貴方が思っている以上に注目されているんです。そのことを肝に命じておいてください」
俗に言う、事務所のごり押し。
それは昨日養成所でこそっと聞いた話。
その立場になれたことは嬉しくないわけではない。
ただ、俺でいいのかと不安になる。
俺の他にもっと凄いやつは沢山いる、そう思うから。
自分に自信がないんだ。
「今日午後1時から一時間ミーティングルームで取材。それから、来期のアニメのオーディションの受け付けが明日から始まるので、空いた時間はその提出ボイスも録音しましょう」
俺に気を使わず、長谷川さんは言葉を続ける。
「初日だからって、私は容赦しませんよ」
曖昧に返事する俺。
どうやら滅茶苦茶な世界に足を突っ込んでしまったらしい。
空いた部屋に入って、次の予定のミーティングをする。
今この部屋には、マネージャーの長谷川さんと俺。それからプロデューサーの真鍋さんだけが入っている。
これから俺の方針について、取材の課程で誤解が生まれない為にするらしい。
と、箇条書きで質問内容のかかれた紙を渡された。
それも長谷川さんの手書き。
素早く目を通す。
___________________
●なぜ声優になろうと思ったか
●憧れの声優、または俳優
●特技、趣味
●自己紹介 100字
●これから目指す場所
●好きな本
●平日は何をしているか
●出身、学歴
●フェチ
(牧野空の写真 二枚)
___________________
一つ一つ確認していく。
相手への無礼のないようマナーの指導も少しされた。
じっくり話し合っているうちに約束の1時少し前になった。
直前で、俺たちのいる部屋の扉をノックする音が鳴る。
コンコン
「プロデューサー、アニコメ出版から佐野さんがお見えにました」
今から俺の初仕事が始まる。
深呼吸して、俺は席を立った。
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