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オーディション
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椅子でぐだっとしている俺に、マネージャーが近寄ってきた。
「次、オーディション用の音源録りに行きますよ」
引きずられるようにして、またさっきの地下の録音スタジオに連れてこられた。
いくつかマイクのついた防音部屋があるのだが、殆どが使用されていた。
多分、彼らも俺と同じくオーディションに向けての録音なのだろう。
そういや今日、声優らしいこと全くしてなかった。
写真撮って、サンプルボイス撮って、取材受けて。
はあ。
この仕事、なに!
俺ちっさい頃、声優の仕事ってアニメに声当てるだけだと思ってた。違うのかよ!
防音部屋、マイクの前に立つ。
「30秒の短い自己PRを。後は用意された台詞を演技して下さい」
長谷川さんが後ろに座る。
その後ろには、ガラス張の壁があって、音響室。
担当の人がついている。
自己PRは、養成所時代に飽きるくらい練習してる。
自分にしか言えないこと。
「kプロダクションの牧野空です......」
と言ったところで一旦俺は口ごもった。
アニメの下調べしてないぞ。
あほ、どんなプロでもそれで演技出来るかい。
これは製作側に対してかなり失礼なこと。
マネージャーに振り向く。
一時中断を申し出て、大事なことを忘れていると伝える。
彼もそのミスに気付いたのか、頭を下げた。
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俺は受付の人に言って、一度事務所を出た。長谷川さんは事務仕事が残っているらしく、事務所に残った。
メモに下記写した漫画のタイトル、または小説。そして、俺がオーディションを受けれるキャラ名。
『王様ゲーム2077 /榊原 研』
『Libra /エクト』
『アオハル片道切符 /花道 明』
『ラヴァニアの魔法 /ソラ』
まだ他にも色々とあるらしいが、取り合えず明日からオーディションが始まるやつを教えられた。
理由は、作成側が応募順に声をチェックしていくから。
もし俺が音声を送る直前にいいなと思う声があれば、俺の声は聴かれずにその声を採ることだってありえる。
そんなことがないようにと、マネージャーは俺を急かしたのだ。
俺はブックオフに向かう。
これが俺の人生の分かれ目。
今日は多分、寝れないだろう。
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