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「あ、天野さん、おかえりなさい」
「空くん、ただいまー」
玄関から入ってきた彼の足元はふらふらしていた。
「今日はドラマCDの収録でしたっけ」
うーん。と頷き返す天野さん。
ドラマCDの収録の後は決まって、こんな調子。
部屋に入ってくるなり、ソファに雪崩れ込んだ。
「お風呂沸いてますよー」
キッチンで、晩飯を用意しながら声を掛けると、適当な返事を返す天野さん。
鍋が煮込むまで、あと10分はかかるだろう。
俺も天野さんのいるリビングに向かった。
「お仕事、お疲れ様です」
どうでした? と聞くと、散々だったと答える彼。
どうやらストーリー物のCDを録音してきたらしい。
「ダミーヘッドマイクって知ってる?」
唐突に聞かれた。
「確か、仕事で使うマイクの1つですよね。でも実際見たことはないです」
そう、と頷く天野さん。
「イアホン用の360度、どこから声を話してるか分かるマイクなんだけど...」
少し言葉を躊躇う彼。
「マイクが立体的で、モアイみたいな形しててね。あれと長時間にらめっこは辛かった」
彼の疲れ具合で、その大変さは充分に伝わってきた。
「他の声優さんは?」
「今回は僕一人・・・。あとモアイ・・・」
「お疲れ様です」
この場合なんて返せばいいのだろうか。
「男性は基本、仕事でダミーヘッドマイク使うこと多いから、空くんも時期が来たら嫌でも分かるよ、きっと」
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