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温泉帰りの家で
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温泉でのこともあり、海さんとは少し気まずい空気の中、普段通りに別れて家へと帰宅した。
まだ21時。普段は天野さんと居間で次の日の台本をチェックする時間帯。
「今日も3人で何処かに?」
ココアを2人分作って、テーブルに置くと天野さんが尋ねてきた。
彼は俺のスケジュールを大体把握している。
「えっと…今日は歌舞伎町の温泉に行ってました」
俺がそう言うと、天野さんの顔つきが変わった。
何かピンと来るものがあったらしい。
「もしかして新しく出来たところ?」
「知ってたんですね」
行きたそうな顔をする彼。
「近くで働いてる知り合いがいるからさ」
天野さんの知り合いか。
そういえばこの業界以外で彼と付き合いのある人を俺はまだ見たことがない。
どんな人か想像してみた。自分の意見がはっきりあって、影響力のある人なのだろうか…とか。
でもその前に。そもそも働いている場所が歌舞伎町ってどういうことだよ。
「もしかしてホスト…とか?」
そうそう。と笑顔で頷く彼。
「マジですか」
半分冗談で言ったので、まさかそうだとは思っていなかった。
意外だった。俺自身、ホストはあまり知らないが、天野さんの友人にそういうタイプの人がいると想像出来なかったからだ。
…気になるなあ。
その時、俺のケータイが鳴った。
ベランダに出て、通話ボタンを押す。
着信は、陸さんからだった。
「どうしたんですか?」
考えたら陸さんからの電話なんて今まで一度もなかった。
多分、大事な要件があるのだと思う。
『今から会えないか』
アイフォンの時計をちらっと確認してから、行けると返事した。
「2人でですか?」
すまないが、と頷く陸さん。どうやら海さんには黙っていた方がよさそうだ。
『いつもの待ち合わせ場所で待ってる』
そう言うと、電話はプツンと切れた。
いつもの待ち合わせ場所といえば、東新宿のマクドだ。
陸さんの声は深刻そうだった。
さっきの温泉で、俺が聞いた質問がまずかったのだろうか。
「ちょっと外行ってきます」
「早く帰っておいでね」
足取りは重かったが、天野さんに事情を話して急いで家を出た。
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