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話題に─遥海side
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「ぅ…俺今日が命日になるかもしれない…」
「心做しか腹が痛い…」
鍋を完食した俺と幸太はソファーに寝転び腹を抱えていた。
唯一ケロッとしている達也が後片付けを済ませて俺たちに水を用意してくれた。
「食べ過ぎ?」
「「………。」」
二人して突っ込むのを諦め、しばらく腹の調子が整うのを待ってから幸太が根掘り葉掘り俺と泪のことを話題に持ち出した。
「さぁて遥海くぅん」
「よし、帰る」
「待たれ!!帰るな!」
ソファーから腰を上げた瞬間腕にしがみつかれた。
鬱陶しい。コイツにしがみつかれても1mm足りとも嬉しくない。誰得だよ。
「俺と達也が恋愛相談に乗ってあげるって言ってんだから、聞かせろよ」
「は?恋愛相談?野次飛ばしたいだけだろ」
「まぁまぁ落ち着けって。気が立っているのも察して上げるからさ」
やけに上から目線でモノを言う幸太にイラっとしつつ、脚を組んで話を促す。
どうせ幸太が話題にしたいことは一つだ。
「浮気された時の対処法を考えようか」
「えええ!?浮気…ええ……」
「誤解だ誤解!浮気って言わねぇよ…まだ」
ほら来た。マジでウザい。
達也は幸太の浮気発言を本気に捉え絶句するもんだから、慌てて否定した。
だが、浮気を全面否定出来ない俺の弱さが現れそれをまんまと幸太に拾われてしまったけどな。
「えーでもあれって元カノと歩いてるようなもんじゃん!一般的にそういうのって許されるの?しかも一年前〜とかじゃなくてつい最近の事だし。ねぇ達也?」
どこぞのJK口調で話す幸太はチラチラ俺を見つつ達也に同意を求める。
勿論達也はこくこく頷いて心配そうに俺を見つめる。
達也は幸太とは大違いな心理だか、逆に真剣に取り扱われたら真実味が帯びて俺を煽ることになるとは知らない。
思わず舌打ちが零れ、幸太を睨みつけた。
「…アイツら付き合ってないから。それに菊池勇と天野が今付き合ってるんだから問題ないだろ」
頭でわかっている事実を述べてみる。
泪は俺と付き合っていて、菊池勇は天野と付き合っている。
泪が好きだったのは以前で、菊池勇は泪に興味なんかないっていうことを。
泪が一年かけて落としにかかって落ちなかったんだから、今更浮気とか起こるはずないってな。
「へー。遥海くぅんは心が広いことで」
淡々と並べた事実と相反する俺の心を見透かして、幸太はクスリと嫌味な笑みを浮かべる。
顔も運動も勉強も中の中の中のくせして、嫌な性格を持ってしまったもんだ。
他の奴らが”普通”な幸太に騙されてしまうわけだ。
「勇ってのが浮気する気がなくても、愛しの泪くんの方がワンチャンあるかもよ??」
「……。」
「もし…勇って人も浮気するつもりだったら…どうなるんだろう?」
否定しきれず押し黙る俺に、追い打ちを知らず知らずの間に仕掛けてくる天然。
「ダブル不倫ってやつですか!?そうなったらぁ〜遥海も天野くんと不倫かしら?」
何故そこまで他人の恋愛に首を突っ込んで、碌でもないことを吹き込んでくるのか。
仮にも友達という関係であるのに。
やけに楽しそうな幸太が心底恨めしく目障りに感じる。
冗談もここまでくると笑えない。
いや、もはや冗談ではないのか。
「………黙れ。これ以上口出すな」
「ご、ごめん…」
「おー怖い〜。でも俺達に当たるなって、馬鹿遥海」
俺の迫力にビクついて大きい体を丸め小さくして謝る達也は元々悪気があったわけじゃないのは知ってるから許すけど、お前は別だ、幸太。
しばらくはお前が困っていたとしても絶対助けないからな。
今この場で心に誓い、ニヤつく幸太に一瞥をくれてやりソファーから立ち上がった。
こんな所に来た俺が馬鹿だった。
「帰んのー?」
「帰る」
俺の背中に間延びした声が掛かる。
機嫌を損ねさせた本人は全く気にしてないし、タチが悪いことに空気を読もうともしない。
「ちょっとコンビニ行ってきてよ」
こうやって身勝手なことを言ってのける。
「は?人の話聞いてたのかよ」
「聞いてたけど、タダ鍋してったんだからパシリぐらいしてよ。ガリガリくんよろ〜」
ソファーに寝転んだ状態でヒラヒラ片手を上げて俺に行けと命じる男。
殴り飛ばしてぇ……。
本気で握りしめた拳。
振り上げるのはいとも簡単だ。
けど、流石に殴りはしない。
はぁと盛大に溜息を落として、玄関に向かう。
その俺に幸太は相変わらずの態度で続ける。
「どうせ一人で帰ったところで悶々と考えて負のスパイラルに入っちゃうんだからさ〜。泪くんが帰ってくるまで俺らといればいいじゃん。てなわけで、行ってら〜」
俺のことを心配しているのか、それとも自分がアイスを食べたいだけか。
2:8ぐらいの割合だろう。幸太はそういうやつだ。
あーあ。
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