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俺はいつも帰り道を歩いた。
きっと耳の事は嘘だって母さんは分かってる。
俺が自分で髪切れないことくらい
一緒にいなくてもわかるだろう。
俺がぼーっと歩いていると
誰かにぶつかった。
「あ、すみませ…」
うるさい。
うるさい女の声だ。
俺がぶつかったことにすら気がついていないバカでうるさい女共だ。
女共は誰かを取り囲んでいるのか
キャーキャーと黄色い声援が聞こえる。
「どこに住んでるんですか?」
「綺麗な顔ですね」
「テレビとか出たことあります?」
話の内容的に、芸能人ではなさそうだ。
「暁か?」
聞き覚えのある声が聞こえた瞬間
女共は一斉にこっちを見る。
女共が囲む真ん中には、宇都宮がいた。
「…やだ、こんな不良みたいなのと知り合いなの?」
「なにあの髪、ピアス。かっこいいと思ってるのかしら」
クスクスと聞こえてくる笑い声が恐怖で
そこから一歩も歩けずにいた。
話し方からして、いいトコのお嬢様か何かだろうか。
「暁、こんなとこで何を…」
俺は逃げた。
宇都宮の言葉を聞かずに。
怖くて…仕方なかった。
女共の目線が。
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