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#25
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~♪~♪~♪~♪
ケータイから流れる曲を聞き、クラスメイトの人から借りたMVの動画を見ながら、8人で踊りの練習をしていた。
一応練習しやすいように、4人ずつに分けて練習することになった。
だが、ダンスユニットの曲というだけあって、なかなか難しくて上手く8人が踊りきれない。
タイミングや足の動きが面倒で、特に前奏とサビの部分は大変だった。
「いっで!」
「うぉあっ、ごめん、明良!」
隣にいる奴の足を踏んだりぶつかってしまうことも何度もあった。
1時間ほど練習しているのになかなか上手く踊れず、みんなやる気がなくなってきてしまった。
「はぁ~…、やっぱムズいなぁ。」
「だな。……選曲間違えたかな。」
「俺はこの曲でもいけると思ったんだけどな…。」
「………どうする?今からでも曲変えるか?」
「でも、生徒会とかにもう紙提出したんだろ?変えられるのか?」
「ん″ん″ー……。」
…~…~♪…~♪~…
みんなが思い通りにいかないことを悩んでいるとき、小さい音で曲のサビが流れてきた。
音のするほうを見ると、そこで優が1人でサビの振りを踊っていた。
振りは、完璧だった。
「……すげぇ。」
サビの難しいステップも完璧に合っていた。
…やっぱ優って、スゴい。
……ここでターンして、足クロスさせて、1、2、3 、ジャンプ、キックして、両手広げて、フィニッシュ…!
映像通りの振りを1つもミスすることなく汗を垂らしながら踊る優が、とても輝いて見えた。
「優、すっけぇ!完璧じゃん!」
「ほんと!教えてくれよ!」
優がこの1日で振りをほぼ完璧に覚えてくれてたおかげで、俺たちも優に教えてもらいながら、なんとか一通りの動きを掴むことが出来た。
2日目に踊る曲の振りは、後で1日目に踊る女子たちから習うことにして、今日はこれでお開きになった。
俺は優と一緒に帰りながら、文化祭のことを話した。
「文化祭かぁー!俺文化祭って好きなんだよな~!」
「へー。武博が文化祭好きとか意外なかんじだな。…俺はどっちかっていうと体育祭とか球技大会のほうが好きだけどな。」
「優は体育会系だからな。俺も体育祭とか好きだよ。でも、文化祭ってさ、クラスのみんなで何かを作ってくじゃん?俺、そういう、みんなで何かを作るのが好きなんだ。」
「……真面目な武博っぽいなぁ。」
「別に俺真面目じゃないんだけど。基本的に、学校行事はみんな好き!」
「…そういえば、俺。あんまり武博の好きなもの知らないんだけど。」
「え?そうだっけ?」
「うん。武博、何が好き?オールジャンルでな。好きなもの何でも言ってみて。」
「うーん…。好きな食べ物なら、パスタとかかな?洋食が好き!中学のときはテニス部だったから、テニスも結構好きかな。あと、最近はロックな歌とかよく聞いてる!邦ロックじゃなくて、ヘビーなほうな。バンドもカッコいいって思うし。」
「ふーん。……あとは?」
「んー…。そう言われるとあんまり思い付かない…。」
「おいおい、大事なもの1個言い忘れてるだろ。」
「え、嘘!?何だっけ?」
俺が聞くと、優は歩く足を止めて、俺を真っ直ぐ見据えて言った。
「俺のこと。」
「なっ…!!!」
目の前で堂々と何の恥じらいもなく俺のことを見つめながら言う優を、とても恥ずかしく思った。
「…ばっ、バッカじゃねぇの!?////」
俺は目の前の優を置いて先に歩き出した。
…まじ、バカだろ、あいつ…!……ったく…。
優の言ったことを聞いていただけの俺のほうが、優よりも顔が赤くなっている気がする。
「置いてくなよー。武博、冷たいなぁ。」
「冷たくない!俺はいつもこうだろ!」
「………俺のこと、もう好きじゃなくなった…?」
声が少し、悲しそうに聞こえた。
俺は歩いていた足を止め、後ろの優を振り返った。
「……そんなわけないだろ。」
「…本当か?」
「…………おうよ…//」
「……じゃあさ、俺のこと好きって言って?」
「はぁあ!?な、何で!」
俺が少し起こったように聞くと、優は嬉しそうにニヤニヤしながら言う。
…やばいじゃん。
……俺、優のペースに乗せられてんじゃんか…。
「だって、告白された日以来、武博から好きって言われてないし。」
「そんなことないだろ!?それに、俺だって同じだ!…優から、ちゃんと好きって言ってもらってない……。」
……思い返してみれば、確かにあれ以来言ってないし、優からもちゃんと好きって言ってもらってない気がした。
俺は、何だか俺たちの関係が少し不安になってきた。
そう感じて思わず俯いたとき、優が俺の頬に手を添えて、俯いた顔を上げさせた。
優の優しい瞳と目があった。
「……じゃ、もっかい言っとく?」
「…………ん。」
優が、また自分の顔の左側に伸びている髪を耳に掛ける仕草をした。
…ドキッ
……だから、毎回毎回それがヤバイんだっての…//
…優、わかっててやってんのか……?
「…………武博。………好きだ……。」
澄んだ瞳に柔らかい笑顔。
その言葉とその笑顔だけで、秋風で冷え始めていた俺の体に一気に火が灯ったように暖かく感じた。
「……俺も、…………好き…。」
俺は、自分の指を優の大きな手の指に絡ませた。
改めて優と両想いだとわかって、とても嬉しかった。
「……じゃあ、文化祭の日は一緒に回ろうな。…みんなに公開ってワケじゃないけど、校内デートもいいだろ?」
「………おっけ。絶対だからな。」
「おうよ!」
…………今が夜で、少し肌寒くてよかった。
じゃなきゃ、俺のこの顔の赤さが優にバレてしまうと思ったから…。
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