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暑い…連日の猛暑でグッタリ。今日は愛犬チョコの検診の日。時間は14時にお母さんが予約したって。チョコを犬専用の自転車の籠に入れ、動物病院へと走らせる。
チョコが赤ちゃんの時から通っている病院は、イケメンでベテランの名医がいる。獣医の腕もスゴイけど、ホント大人の魅力っていうのかな?とにかくすごくカッコいい先生なんだ!
よし、着いた…って!やっぱり診療時間午後は15時からじゃん!なんかおかしいと思った…
「チョコ…ごめん…時間間違えちゃった…」
「? くーん…?」
「…この暑い中、また帰るって…チョコが可哀想すぎる…!」
9年も通ってて診療時間を間違えた…でも午後の診療ってほとんど行った事なかったからなぁ…。待合室のドア、鍵空いてないかな……って!開いちゃったよ!先生!不用心だよ!
「…こんに…」
「約束なんかしてない!」
「うひ!」
僕は先生に怒られたと思って、身を竦めたけど…どうやら怒られているのは違う人みたい。1番の番号が貼ってある診察室から、先生の怒鳴り声。
「…いえ、水曜日にお電話で確かにお約束を…」
「してない。絶対にしてない」
あ、この前会った若い営業マンの人の声だ!試供品でチョコのおやつ貰ったんだよね!あの人、すごい可愛い感じの男の人で、僕の妄想力がかきたてられたんだよなー。あ、僕ね、今流行り(?)の腐男子というやつみたい。BLっていう男の人同士が恋愛するっていうの。でも僕は恋愛するなら女の子が好き。BLは読むのが好きなんだよ。
「いや、先生…お約束しましたよ」
「してないね。大体お盆にそんな約束しないし、今手術終わったばかりだよ? そんな風にスケジュールを組んだりしないし、だいたい昼間の診療時間外は手術時間なのキミ知ってるでしょ?」
「…先生、でも…」
「でも? なに? あ、それにこの前、キミの所の機材を導入してみたけど、説明と違うんだよね? どういうことかな?」
営業マンさん、ちょっと可哀想だな…たぶん先生の方が忘れてたんだと思う。先生って細かい事はあんまり気にしないし、いつもすごく忙しい人だし。でもそれで言い返しちゃうのはダメ。先生って、1返すと、100返ってくる人だから。
「…あ、あの、…そうだ! お土産を持ってきました。どうですか? おやつの時間には少し早いですけど…」
「……おやつ、ね」
なんてタイミングでおやつの話…!この営業マンさんはスゴイ切り返しする…僕は成り行きが気になってチョコを小脇に抱えたまま、いつの間にか診察室のドアに耳をそばだてて、二人の会話を聞いていた。
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