アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
双子の話
-
「イチ様、一つお願いがございます」
「この状況で断る程マゾじゃねーんだよ」
「・・・私が今から話すことは、ご主人様には内密にお願いします」
「・・・分かったよ、とっとと話せ」
「先に述べておきますが、ご主人様の名誉のため一部」「わーったから早くしろ」
長々と前説を述べられる気配がしたので断ち切る。
「かしこまりました。
ご主人様、あのお二人の間にある感情は家族に対するものではありません。
肉体関係もとうに結んでおりますし、行為自体も頻繁に行われています。
しかしながら、これはある意味致し方のない必然だったのです。
幼少期、お二人はかなり特殊な環境におられました。
恵まれていなかった訳では無かったのですが、ただ一つ、家族の愛情を注いでくれる相手が一人としていなかったのです。
母親は、お二人の事を事故によって生まれた産物としてしか見ておらず、産んでから一度たりとも名前を呼ばれたことが無いと、お二人が自ら語っておられました。
そしてお二人の父親もまた同様でした。
父親は社会においてかなり大きな権力を持っていますが、特段多忙というわけでもありません。
しかしながら父親からは名前を呼ばれたことが無いばかりか、顔を見たのもこの生活を手に入れる時の一度きりだと聞き及んでおります。
では肉親以外の人間はどうだったのか。
それにはお二人の容姿の良さが災いしました。
常に性別を問わず色欲の籠った目で見られ続け、無意識のうちに他人を汚いものとしか見られないようになります。
皮肉にも父親の権力からか、乱暴されるようなことは無かったようですが、そうでなくともお二人は他人との性的な接触に嫌悪感を覚えるようになりました。
ですがお二人も人の子である事に変わりありません。
身体的な第二次成長が訪れると、嫌が応にもそう言った欲望は高まってきます」
「そんでお互いに手を出したと」
俺は話に見切りをつけて結論を出した。
「左様でございます」
「だから軽蔑するなと」
「はい」
「知るか」
「・・・残念です。イチ様なら分かって下さるのでは」「てめぇら俺に何したか分かってんのか?」
もうこいつに喋らせることさえも許せなかった。
何なんだその虫の良すぎる話は。
「俺をここに連れて来て何をしたよ、言ってみろよてめぇ」
「・・・それとこれとは話が違います」
「じゃあ聞くがな、てめぇさっき接触が出来ねぇどうこう言ってただろうが。
あのクソガキ、俺の顔見て抜きやがったんだぞ!どう説明すんだよ!あぁっ?」
「それが、私にも分かりかねるのです。
もしかしたら人と物との中間にあるイチ様の存在が、お二人の深層心理に何らかの影響を与えているのかもしれません」
「俺が物に見えんのか!俺は人間だ!」
「ですのでお二人の認識の」「うるせぇ!」
俺は痛む左手を無視して布団を被った。
「もう一つ申し上げておきたいことが有るのですが」
「出て行け」
「ですが」「舌噛んで死んでやる」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
17 / 72