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隙を魅せて。20
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「……っ」
必死に小さく声を漏らすその仕草までもが好きだ
諦めきれない。だから期待させられるのは気持ちが追い付かない
なのにこの人はそんな俺の心に容易く侵入する。
この人の口から、俺が好きだと紡ぎ出された
正直驚いた。
けど、信じられなくて抱き締めたいのに素直に体が動かない
すると、開放された腕を掴んでいた手は涙を止めるために必死に目を覆っていた
今、俺はなにをするのが最前なのか分からない。
「ごめんなさい」
聞こえるか聞こえない位の声で呟くと縮こまった一回り小さな体を引き寄せた
一瞬だけビクリと震えたのが分かったがそれでもキツく抱き締める
壊れそうな体と心を傷つけないように優しく包み込む
「っ西園寺…」
「はい」
「っ…キス、して」
「……嫌です」
「西園寺…」
「っ…」
頬を包まれ強引に口付ける
「っん、ぁん…んん、っは」
「……煽らないで下さい。」
「っ…敬語やめろよ…馬鹿」
「っ…どっちが馬鹿だよ」
「んー、ぁ、さい…んぅ、」
「名前…呼んで」
「ん、ーぁ、いっ…る い、ぅん…」
「んう…いいね、ゾクゾクする」
「あ、…はぁ」
「っ、心咲さん!」
キスしたことに対して満足げに微笑む心咲を今度は強く抱き締める
「好き…心咲さん、好き」
「馬鹿、苦しいよ…」
「心咲さん…後悔しても遅いからな」
「するかよ、言っとくけど俺は独占欲人一倍強いからな」
「束縛くらいが調度いい。アンタの好きが知れるなら」
「ん、…あ、そうだ」
いい雰囲気の最中涙の止まった心咲は何かを思い出したように類を見上げる
「?」
「俺、お前にいつビンタ食らわせた?」
「聞いてないとか言っといてちゃっかり覚えてるのって卑怯だと思うんだけど?」
「っ!ちょ何して!」
キツく抱き締めた腕を解くと類は心咲のパジャマのボタンを解き始める
「脱がしてる」
「阿呆か!わかってんだよそんくらい」
「じゃあ何?」
「だから、っ、なんで脱がすんだよ」
「安心しろ、アンタが思ってる卑猥なことなんてしねぇよ…」
「説得力ねぇよ!」
心咲のを脱がせから自分も脱ぎ出す
恥ずかしさに身を縮こませれば後ろから腰に腕が回り肌と肌とが触れ合う
「あったけぇ」
「当たり前だろ…」
「どうして」
「っ…解れ」
「言ってよ、先生が思ってること…今俺が思ってることと一緒だから…」
「お、お前が…近くて、密着してるから…」
「先生…好き」
呟くと首筋にキスをした
「ん、今度はお前の番だぜ…」
「……─中学の時、本当一時期だけ生きてんのがつまんなくなってケンカばっかしてて殆ど家に帰ってなかった頃があって」
──バキッ
「っ覚えてろよ!!」
そういって数人の男たちは身を引いていく
「……」
そんときの俺は何にも興味がなくて、来るものは拒まず去るものは追わずって感じだった
「スゲッすね!やっぱ類さんが最強ッスよ!」
「そーだぜ、一生ついていきます!」
そんな言葉は漫画やドラマだけかと思っていたけど、本当に言ってるような眼差しに呆れつつもなんとも言えない気持ちになった
「ほら、もー解散。また明日な」
「ハイ!」
「お疲れさまっしたー!」
数人いる連れの野郎どもが一斉に歓喜湧く
手を大きく振る者もいれば、永遠と姿が見えなくなるまで笑顔で後ずさる奴
個性の様々な奴らが俺の下について、それぞれ皆が仲がいい
「……ふぅ」
だが幾らケンカしたところで満たされない
詰まらない
その日は友達を頼る訳でもなく通りすがりの公園に立ち寄る
キィ…キィ…
と、軋む鎖の音をボーッと聞きながらブランコを軽く前後させる
「あれぇ?」
「?」
地面を見つめる視界に複数の靴が見えた
「お前、西園寺類だろ?」
「だったら何だよ」
「テメェにヤられた奴のカタキだ」
「は、腹いせかよ…」
くだらねぇ、と呟くとチャキと金属音がした
ふと、顔をあげるとナイフを持っていた
ヤバイ、と不意に立ち上がるのと同時にその男がナイフを降り下ろす
「っ!」
避けたつもりがナイフが類の頬をかする
「かかってこいよ」
かすめた傷から流れる傷を手に絡めるとそのまま拳に固めなおし、男の顔面へヒットさせる
当たりどころが悪かったのか、男は後ろに倒れこむ
その様子に呆気とられる回りの男たちは唾を飲み下す
「頭とったんだけど、まだなんか用か?」
男たちが尻込みすると微かに地面がジャリっと音を立てた
「やっちまえ!!」
その言葉と共に数人の男たちは類に殴りかかる
それを軽やかにかわしながら腹に拳を叩く
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