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ミヤくん
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「………それ、どーゆう…事ですか、?」
今度は俺が眉をひそめながらそう聞くと
「んー……彼はとにかくダメなんだ。……そうそう、私はそれだけが心配だったんだよ、」
と酒井さんがまた溜息をつく。
…いやいや…そう言われましても……
「逢坂くんはミヤくんから許可を得て写真を撮った訳じゃないよね?」
……確かにそう言われたらそうだけど……でも、学校から、なんでも撮っていいと言われて俺は来ている訳だから、別に人を撮ってもいい訳で……
「…確かに、アイツからは取ってないっすけど、……」
「…、じゃあ、ミヤくんの写真だけは少し控えてくれないかなぁ?」
酒井教授はぽちぽちと、スマホを弄りながら俺にそういう。
多分、ミヤくんだかに心配のメールでもしているんだと思うけど…
「……なんでっすか、?」
その当事者じゃない人から写真を撮るなと言われるのはどーにもこーにもあまりいい気はしない。
だって俺、悪い事した思い出がない。
すると、酒井教授はメールを打ち終えたのかスマホを置くとゆっくりと話し出した。
「……彼はここの院生でね、かれこれ彼が大学二年生の頃から、…んーー…と、だからもう彼がここの研究室にきて4年くらいになるのかな、」
院生……、あ、だからさっき学生がいない中あいつだけいたのか……
そう自分の頭の中で納得する。
「入れ替わりの激しいうちの研究室で、4年っていうのは結構長くて、多分いまいる研究員の中で一番長いと言っていいくらいなんだけどね、」
「……はい、」
「……それでも僕はミヤくんの事をまだ何も知らないんだ」
「…………へ?」
困ったように眉を下げてそういう酒井教授の顔からは少し悲しそうな雰囲気が感じられた。
4年いて……まだ何も知らない……?
「……すいません、それどーゆうこと…っすか」
「……どーゆうもなにもないよ、とにかく彼はそういう事なんだ、とにかくダメなんだ。」
へらっと笑いながらいう酒井教授に、俺はあれこれずっと聞き続けたが、教授はこれ以上は何があっても話さないというような感じで、ダメ、と頑なにそれ以外の事を話さなかった。
結局そのまま俺はその研究室を出るまで酒井教授は一切話そうとせず、終いには「さっきの写真、消しといてね」なんて言われてしまって。
せっかく何ヶ月かぶりにいい写真が撮れたのに、なんで消さなきゃなんねえのかその理由さえまともにきけないまま俺は大学を後にした。
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