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イチョウの約束とイチのナイフ。
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「……なんだよ…?……俺を嘲笑ってんのか?面白がってんのか……?…」
カメラ越しに一切瞬きをせずにそう言う木村に、俺は心から1つ溜息を吐いた。
その言葉が、そのギラギラとした目が、…木村の今までしてきた言動が全て本気だった事を表していた。
「……お前って、本当ザンネンな奴だな。」
構えていたカメラを下ろしてまるでため息を吐くかのように俺はそう呟いた。
「…顔もスタイルもそこそこいいし、おまけに医学部で頭もトップクラスに良い。ーー……なのにザンネンだ。…頭の回路がまるで幼児みたい。…なんつーのかなぁ、…相手が何されたら嫌かとか、そういう痛みを想像する頭が元々備わってねぇっつーか。」
「………………」
「お前は常に自分のことで頭がいっぱいだ、俺は俺はって。……でもまぁそうやって今まで生きて来たんだろーなあ……。」
「…………」
「………あーーあ。…それってすげぇかわいそう。」
笑い声にはならずに哀れむような表情だけ浮かべてそう言う。
すると、その言葉が木村の地雷を踏んだ。
「……っるせぇ……っ!!!!!!」
ーーーーーーーー……ッグイ……ッ!!!!!
今まで睨むだけだった木村が、俺の胸ぐらを容赦なく掴み力任せに引き寄せる。
そんな久しぶりに感じた"喧嘩"の気配に、無意識にも血が騒いでニヤッと口角が上がった。
「…………お、?ケンカか…??
……っふふ、…実を言うと俺も口喧嘩よりも殴り合いの方が得意なんだよな〜…!…なんだ、お前がやる気なら話が早い。」
グイ……ッ
ビビるとか怯むとか、そんなん寧ろ大歓迎。
やりあって解決すんなら、それ以上に手っ取り早いことなんてねぇだろう。
向こうもやる気だったら、そんなんもう理由とかどーでもよくて殴り合いたい。反射的にそんな思考が思い浮かんで俺も木村胸ぐらを引き寄せた。
……のだが、
殴り合いには、最低限のルールってもんが必要だろ?
パッ……
とその掴んだ手を離す。
その俺の行動に木村の目が少し困惑の色を見せた。
……さっきから何となくおかしいとは思っていた。
ギラギラした目。発言。表情。
どれを取っても常人には決して出せないような気迫。
それがやっぱり、妙になんか怪しかった。
……でも、今、それが何だかはっきりとわかった。
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