アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
口喧嘩とからかい
-
「あ、あの……?」
距離を取ろうと足を引いたが、何故か腰に手をまわされ逆に宏正さん側に引き寄せられてしまった。
「ひぇ!?」
驚いて反射ででた声に宏正さんはくすりと笑い、ぐっと顔を近付けてくる。
大泉くんによく似た顔にドキッとするが、この人は大泉くんではない。
しかし何故こんな状況になってるんだ、訳が分からない、この人なんなんだ!
胸を押し返すが、それを意に介した様子はない。
しかも宏正さんは楽しそうに笑っていた。
からかわれている、完全に!
やめてくれ離してくれと頼もうと口を開いた時、ガチャとリビングのドアが開きぽかんとしている大泉くんが立っているのが宏正さんの肩越しに見えた。
大泉くんはすぐにはっと我に返り、宏正さんの腕から俺を解放してくれた。
「何やってんだ!」
「何って、ちょっとお話してただけじゃん。ね、瞬」
「へ?」
お、お話?だったのか?
ていうか呼び捨て……。
「お話じゃなくてセクハラだろ!誰彼構わずちょっかい出すのやめろって何度言ったらわかるんだ!」
「そんなに怒るなよ。短気は嫌われるぞ〜?」
「怒るのはお前にだけだ、さっさとどっか行け」
「はいはい分かったよ。まったく、うるさい弟を持つと苦労するねぇ……」
宏正さんは苦笑いを浮かべるとドアの方に歩いて行ったが、「あ」と何か思い出したように呟きこちらを振り向いた。
「カズよぉ、祥子のことどうにかしてくれね?あいつまたお前にフラれたっつって俺のとこに泣きついてきてさー」
「自業自得だ。それにもう関わるなって念押しといたからそんなこともなくなるだろ」
「どうだかねぇ……ったく、一回の浮気くらい許してやれよ」
「元はと言えば兄貴が祥子に変な事吹き込んだんだろ」
「そうだっけ?」
「お前……!」
「じゃあ俺また出かけるから」
「おい!」
「またねー、瞬」
今度はへらへらした笑顔を見せて手を振り、宏正さんはリビングを出ていってしまった。
なんだったんだろ、あの人…。
それにしても、あんなに感情を剥き出しにしてる大泉くんを見るのは初めてだったな。
お兄さんにはいつもあんな感じかのかも。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
32 / 36