アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
仲直りと約束
-
大泉くんはひとつため息をつくと、こちらを向いて申し訳なさそうに目を瞑った。
「ごめん氷室。兄貴が変な事して……何もされなかった?」
「う、うん、からかわれただけだから大丈夫!……それに、謝らなきゃいけないのは、俺の方だから」
俺は大泉くんに向かって頭を下げた。
「ごめんなさい。日曜日も今朝も、嫌な思いさせてしまって」
「そんな……俺は何とも思ってないよ。俺こそ、個人的な事に巻き込んでごめん」
大泉くんの手が肩に触れて、顔を上げるよう促してくれる。
優しい目をして微笑んでくれた彼を見て、心のどんよりした重りのようなものがすっとなくなった気がした。
よかった、仲直りできて。
俺のこの劣情は閉まっておくから、せめて、彼と友達でいることだけは、許されたい。
そんなことを思っていると、少し緊張した面持ちで、大泉くんが俺の名前を呼んだ。
「氷室が、嫌じゃなければでいいんだけど……」
「うん?」
「今回予定流れちゃったから、次の日曜日に、やり直ししない?」
「え……」
それって、つまり、大泉くんとお出かけする…ってこと?
「いや?」
「う、ううん!嬉しい!しようお出かけ!」
あれ、でもいいのか?
今回は握手会とかはないけど…。
口実なんて無く、お出かけしても、いいの?
どうしよう、嬉しすぎて口元が緩む。
「楽しみにしてる」
「お、俺も…!」
それから、服が乾くまで2人で他愛もない話をしたり、テレビを見ながら過ごした。
服が乾いた頃には雨も止んでいて、大泉くんが途中まで送ってくれて、何だか恋人っぽいな、なんて浮かれたことまで考えてしまった。
すぐにそんなことになるわけないって冷静にツッコミを入れてひとりでショックを受けてしまったが、とにかく次の日曜日が楽しみで仕方なかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 36