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昨日のこと
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大泉side
1週間後。
昼休み、俺は実邦に昼飯を一緒に食わないかと誘われて、屋上に来ていた、のだが。
「だから、何でお前がここにいるんだよ!」
「いーじゃねぇか別に」
「よくない邪魔だ、どっか行け」
目の前で、誘ってきた当の本人が、俺たちの同じクラスで学校でもわりと有名な不良の八嶋知大と口喧嘩を繰り広げていた。
実邦曰く、誘ってないのに勝手についてきたらしい。
俺は別にいてくれて構わないんだけれども。
「そんなこと言うなって。な、大泉」
「ん、あぁ……」
「ダメだ、今から和正と話があんだよ、早くどっか行け!」
嫌だと駄々をこねる八嶋の背中を押し屋上から追い出してしまった実邦は、盛大なため息をつき俺の横に腰を下ろした。
「いいのか?」
「いいんだよあんなやつ。それに、お前と氷室の話なんだから、他のやつに聞かれちゃまずいだろ」
そりゃまずい。
追い出して正解だ。
って、俺と氷室の話って、一体なんだ?
「和正、昨日氷室と出かけたんだって?」
「あぁ…って、何で知ってんだ」
いやまぁ、別に、知られててもいいけど。
特に誰にも言ってないから、実邦が知ってるのに驚いてしまった。
「氷室から聞いた。ここ数日ずっとふわふわしてたから、なんか嬉しいことあったのかなーと思って」
実邦が、自分で持ってきたであろう手作りの弁当の蓋を開け、食べ始めた。
…こいつ、頭もいいし運動も出来て家事全般できるのになんで不良なんかやってんだろ。
と、今はそれは置いといて……。
確かに、ここ数日の氷室はなんだかぼーっとしてたりにこにこと機嫌よさそうにしてる事が多かった。
楽しみにしてくれているのかなって嬉しかった。
「で、昨日は何したんだ?」
「……普通に映画みて、飯食って帰ったよ」
「それだけ?」
まさにそれだけである。
本当に普通に、お互い見たいと思っていた映画があったからそれ見て、終わった後感想言い合いながらファミレスで食事して少し散歩して帰った、すごい楽しかった。
「他に何が?」
俺がそう問うと、実邦は少し呆れ気味に俺を見た。
「告白は?」
「なっ……できるわけないだろ!」
突然何を言い出すんだ。
そりゃ、多少は好意を向けられているとは自覚してるけど、氷室の好きと俺の好きは種類が違うし。
「告白しても、困らせるだけだろ……」
「してみなきゃわからんだろ。…それに、あいつ意外とモテるみたいだし?うかうかしてたら他の子に先越されるぞ」
「それは……」
そんなのは、俺が一番よくわかってる。
わかってる、けれど……。
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