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嘘と真実
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翌日。
あまり眠れなくて、欠伸をしながらも学校に登校した。
これでいいんだと、これが正解なんだと頭では納得しているのに心が晴れない。
そんな俺の心を表しているかのように、今日の空は曇っていた。
そーいえば、雨降るって言ってた様な。
そんなことをボーッと考えて、生徒玄関に行った。
「…!」
すると、彼が、いた。
俺の靴が入っている下駄箱の前で、下駄箱に背中を預けて立っていた。
驚いて、咄嗟に隠れようと思った。
だが彼はすぐ俺に気付いて、俺に歩み寄る。
「…あ…」
「……ちょっと、来て」
彼は俺の手を掴んで、校舎裏まで引っ張っていった。
「…………」
「…………」
彼が、俺の目を真っ直ぐ見つめた。
だけど俺は逸らしてしまう。
「…なんで昨日、来なかったの」
やっぱり、そのことか。
「よ、用事が出来て………」
「嘘だよね」
「っ……」
「どうして?」
「それ、は…」
「……あとさ、なんで氷室じゃなくて祥子が来るの」
「…………」
「氷室、言って。何があったの、祥子に何言われたの」
「………………も……」
「え?」
「何も言われてない、俺の意思だから…」
「嘘つかないで」
「嘘じゃない!………嘘じゃ、ない」
「氷室……」
あの日…初めて五十嵐さんに会った日に、彼女は俺の家に押し掛けてきた。
まぁ正確に言うと、玄関の前で引き止められたのだけれど。
どうやら、彼女は俺のあとをつけてきていたらしい。
「お話があるの」
彼女はそう言って、にこりと笑った。
何とも冷たい笑顔で、背中がゾクリとした。
「何で、俺に…?」
「あなた変なこと言うわね。分かるでしょう?私の言いたいこと」
大泉くんに対しての口調と全く違う。
明らかに敵意を向けられている。
恐らくこっちが、本当の彼女…。
「……私はね、まだ和正の事が好きなの、愛しているの。そんな私の愛を、あなたみたいな『男』に邪魔されたくない」
ギクリとした。
もしかして、俺の気持ちに気付いてる?
「気付いてるわよ。あなたを見て一瞬で分かったわ。昔からね、私は和正に近付こうとする女を排除してきた。だから、雰囲気とかで分かるのよ、和正のことが好きな人が」
「…お、俺は別に………」
「隠したってムダよ」
彼女は俺に軽蔑の眼差しを向けていた。
その目が、俺の心に突き刺さる。
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