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心配と可能性
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「氷室くんは、こんなところで何してたの?午前中も教室にいなかったから心配してたんだ」
多宮さんは「京子ちゃんも」と慌てた様子で付け加えた。
「……ちょっと、いろいろあって」
「………もしかして、大泉くんと何かあった?」
「え、何で知って………あ…」
しまった、と思って慌てて口を閉ざす。
言うつもりなかったのに…。
多宮さんをちらりと見ると、困ったように笑っていた。
「たまたま聞いたの、氷室くんのクラスメイトが話してるとこ。最初、今日大泉くん元気ないって話してて、その理由が朝に氷室くんと喧嘩したからって言ってて…」
「…………」
「教室覗いたら、氷室くんいないし、大泉くんもずっと寝てるしで、やっぱり何かあったんだって思って…。いつも見てたから、心配してたの」
「いつも?」
「……あっ、えっと…その、あの……」
多宮さんが、少し頬を赤く染めて俺から目を逸らす。
もしかして多宮さん……。
「………あの、もしかして多宮さんって」
「は、はい!?」
「……大泉くんのこと、好き…なの?」
数秒の沈黙が流れる。
その間、俺はずっと多宮さんをじっと見つめていた。
当の多宮さんは、ポカンとしていたけど。
「い、いやいや!違うよ!私の好きな人大泉くんじゃないよ!」
「あ、そうなんだ」
ほっと胸をなでおろす。
だって、こんなに可愛い子がもし大泉くんのこと好きだったら、俺に勝ち目ないもん。
まぁもともと、可能性なんか無いんだけどね。
「とにかく、さ。あの、早く仲直りしてね!」
「……うん、ありがとう」
本当に、つくずく思う。
俺が、女の子だったらなぁ…って。
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