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黙秘。
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結局一睡もしないまま
重い足取りで学校へ向かう
いつも通りの朝になるはずだったのに...。
いつも通りに朝食をとり
いつも通りに少し早めに家を出て
いつも通りにあの曲がり角を...
曲がって...
功太の家へ...
階段を上がってドアノブをひいてみるが
案の定、鍵はかかったままだった
まだ帰宅していないのか
それとも学校へ向かってしまったのか
理樹は走って学校へ向かった
「理樹おはよ...」
いつもはうるさいくらい
元気な理樹なのだが
その変わった様子に皆も戸惑った様だった
力なく笑う理樹は
小さな声でおはよ、と返す
功太の机に目をやるが
そこは空席だった
「俺も何度か電話かけたし、気になったから少し家の周り探したけど...いなかった」
そんな様子をみた1人が
首を振りながら理樹に伝える
理樹以外にも心配してる人は
沢山いるようだった
「俺も、今日神崎くんの家行った!けど、鍵かかってた...どこにいったんだろう...」
「他のクラスの友達に神崎くんの事聞いたけど誰もわからないみたいだった。昼食時間だったからなぁ、見たって人全然いないんだよ...」
(皆...功太の事探してくれたんだ...)
嬉しさ半分、
これだけの人で探して
見つからない事に対しての不信感
「ありがとな、皆。俺も一生懸命探したんだけど全然....。誰かが功太の事をどっかに閉じ込めてるってしか考えられなくなってきて、俺、どうかしてるよな....」
胸の内を正直に伝える
考えすぎだと誰も否定してこないのは
皆同じ事を思っているからだろうか
理樹はとりあえず自分の席へ座った
始業開始のチャイムが鳴る
担任の先生が教室に入ってきたと同時に
理樹は詰め寄った
「先生っ!功太が昨日の昼からいないんだよ!携帯もとらないし、家にもいないし、どこ行ったかわかんねーの先生!?」
先生は少し動揺したように見えた
だが冷静に答えた
「神崎は暫くの間休学する事になった。戻る予定は知らされていない。実家の方へ戻っているから家にはいないんだろう。さぁ、席に戻れ橘」
は?
なんで休学?
意味が分からなかった
するにしても連絡くらいするだろ
「り、理由は?...功太、病気とかなのか?」
「いや...病気とかじゃ、ない。理由なんか深く聞くわけないだろう。...本人の意思をご家族の方が伝えに来ていた...というかお前に関係ないだろう!さっさと席に戻れ!」
その場の思いつきで話しているようにも見えるその話し方は何か怪しかった
そして急に声を荒げて怒鳴る
理樹は納得するはずなかった
「なんだよそれっ...なんで友達に連絡一つしねぇんだよ!お前会って話くらい聞けよ!そんな理由があるかよ!関係なくねぇよ!ふざけんなよ!!」
胸ぐらを掴んで担任に怒鳴り返す
さすがにやばいと思った皆は
理樹を先生から引き離す
「やめろっ!理樹!先生だって急な知らせに困ってるんだろっ。こんな事したって意味ないだろ!」
理樹少し落ち着きを取り戻した後
席に戻る
先生も本当の所は知らない
ただ、功太がいない事に小野寺が
関わっている事だけは分かっていた
しかし黙認しろという白井の脅しが
何も言えない状況を作っていた
朝の嵐は収まり友達に宥められた理樹は
1人だけ絶対に功太の休学を信じなかった
好きな人がいない学校生活が
始まりを告げた
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