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監禁生活。--汚染.5--
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-----『俺は蒼の事、好きじゃない』
その言葉はこの短い間に蒼の頭の中で
何度も流された
どうして?
どうして誰も僕を好きになってくれないの?
どうしてこんなに、こんなに
愛しているのに好きになってくれないの?
「.....どうして.....っ...」
布団をギュッと握りながら俯く
そんな蒼を見ながら
功太は悪い事をしたような罪悪感に襲われるが
自分の中の気持ちに従った悔いのない気持ちが
葛藤しあい複雑な気分になった
「.....なんだ......り、最初.....て.....」
小声でつぶやくような言葉が
蒼の口から漏れる
功太は不思議そうな表情で蒼を見ていた
すると蒼はパッと顔を上げる
見つめていた功太と目があった
蒼の目には光がなく笑顔がなく
冷たくて覇気の無い顔をしていた
功太はその顔に背筋を冷やす
淀んだ目をした蒼は口を開く
「優しくしても、どんなに大切にしても、功太は僕のものにはならないんだね。」
その声は低く
深い悲しみをはるかに通り越し
感情を感じさせなかった
功太はその言葉の意味を飲み込めずに
困惑した顔をみせる
蒼は不意に口元を緩ませ
片方の口角を上げて見せた
ニタリと歪んだ顔は余計な恐怖心を植え付ける
「もう優しくなんてしてあげない。意味ないし。功太は僕のもの。だから、何をしても誰にも咎められない。だから」
ぐっと態勢を変えて功太へ伸ばしたその両手を
その細い喉にかける
「....なっ...!?...ぁ....っ!」
絞めあげるほど強くは無いが
圧をかけながら手に力を込める
「全部全部壊してあげる。功太の理性も、橘への想いも、その思考も、この身体も....全部っ!」
ギリギリと込められた手を振りほどく事も出来ず
功太はただ蒼の手に自分の手を重ねる
まだ癒えない傷の鈍い痛みと息苦しさが
功太の思考を停止させる
「そ、蒼っ....嫌だ..っ、離....し...っあ”..」
一度味わった絞首の苦痛さは
忘れられるはずもなく
功太は嫌だと抵抗するが蒼はまるで聞き入れる様子がない
完全に意識を手放すような絞め方ではなく
喉を潰すような力加減は
また違う苦しみがあり功太は離してと哀願する
「頼、むから...やめ、て...く.....れ...ゔっ.....」
「やっぱり功太は苦しんでる時が一番綺麗な顔をしているね。泣いてる顔も怯えてる顔もどれも素敵だよ。.....さぁ、もっと啼いて...さぁ...!!」
ぐりっと喉仏を潰すように絞めると
より一層身体を使い功太は抵抗する
それを面白そうに何度も繰り返した
(...やっぱりこいつは俺の事...好きなんかじゃない....っ...)
功太は苦しさの中でそう決め付ける
蒼が好きという言葉に嘘はないのだが
愛し方を歪んでしか伝えられない蒼の行動に
功太は本当は好きではないと勝手に確信する
好きな人を苦しめる原理が
功太には理解できなかった
だから本当は大嫌いで
殺したいくらい憎いのだ、と。
何故それを隠して好きというかなんて
そこまで深くは考えることはできないが
絶対そうだと思っていた
「そ、ぉ...離し、て....」
「僕の功太。僕以外を好きになるなんて許さない
よ。ずっと僕のそばにいるんだよ。」
功太はかろうじて息が出来る絞首に
内心不思議に思いながら
薄れる事のない意識の中で
哀願と抵抗を続けた
蒼は暫く絞め続けた手をふとした瞬間に
手放した
急に自由になった喉に空気が入り込み
功太は噎せ返った
ゴホゴホと激しく咳き込み
少しづつ呼吸を整えていく
「功太を生かすのも、殺すのも僕次第だよ?君の
命は僕の手の中にあるんだ、わかったね?」
ベッドに伏せた功太を見下すように
蒼はそんな風につぶやいて見せた
(俺はここで死ぬ事も許されないのか....。全て、全てあいつの手の中に....)
そう考えていると
全ての気力が無くなってしまう気がして
怖くなった
腕に刺された点滴からは生を
絞められた首の苦しさから死を感じ
蒼という人物が自分の中で
とても怖い存在になっていった
功太がベッドで蹲り
恐怖に耐え怯えている様子を横目に
蒼は無言でベッドから降り部屋を出て行った
俺はここで生きてここで死ぬんだ
生きるってなんだろう
死ぬってなんだろう
ここへきて生きてる心地もしなくなり
死んではいないから死んだ心地もしない
余計に分からなくなった
理樹に会いたい.....。
功太は寝るつもりなんてあるわけないが
そっと目を閉じて
もう会えるはずのない笑顔を想像した
記憶の中の理樹の笑顔は眩しく
暫く会っていないのに鮮明に功太の頭に浮かんだ
それがまたより一層悲しくなるが
ここから出ることを諦めている功太にとっては
忘れたくない大切な事の1つだった
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