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本当の気持ち。
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扉を閉め、何処へ行くともせず
もう夕陽が沈み闇色に染まった窓の景色を
ため息まじりに眺める
その声は虚しく長い廊下に響く
功太は、僕の事を好きになってはくれない
この先、ずっと....。
功太をここへ連れてくる前
無表情だったその姿に惚れ
自分の手で様々な表情を見たいと思った
そしてここへ来て
無表情こそ無くなったが
橘といる時にふと見せていた
笑う事も無くなっていた
本当は強制ではなく、自由に
功太自身で見せる
表情を見たいと思うのだが
それは不可能な思いであった
蒼が手を加えれば
功太は怯えた表情や悲し気な表情ばかり
穏やかに見える顔は寝顔だけだった
起床時は常に蒼を警戒し、恐怖に耐え忍んでいる
それもそうだった
何か都合が悪くなれば殴られ
嫌と抵抗しても身体を嬲られ
そんな事を繰り返す相手の前で
自然に笑う事なんてできるはずがなかった
しかし
そんな当たり前の事を
蒼は理解できなかった
蒼としては
好きだから殴っている
好きだから功太に触っている
功太が自分の事以外を考えるのが許せないから
殴ってしまう。苦しめてしまう。
功太が嫌だと言っても
好きだから、可愛いから、愛してるから
その身体を触って自分の手で感じさせたいと思う
全て功太を好きだと思うが故の行動だから
功太が自分を嫌う意味が分からなかった
それに
蒼は功太の苦痛に歪む顔が好みだった
好きな人の好きな所を見たいと思う純粋な思いの何がいけないのか
歪みきった思考を持った蒼には
それすらも分からなかった
どうして?
僕はこんなに君のこと愛しているのに
振り向いてくれないの?
この思いだけが胸中を埋め尽くし
功太の気持ちになって考えるなんて事は
蒼にはできなかった
萩堂の一件があり、
無理やり犯された功太を労る事もできず
傷つけた事に
罪悪感を感じたことで
意識して功太へ優しく接してあげたのだが
それでも功太は怯えた目を蒼へ向け続けた
そして聞きたくもなかった言葉を呟いた
ーー『俺は蒼の事、好きじゃない』
好きじゃ、ないーー。
殴ったりしてごめんねって
萩堂にされた事だって
辛かったねって、苦しかったねって
慰めてあげたのに
それでも功太は僕を選んでくれなかった
最初は自分の一方的な片思いでいいと思っていた
だけど
やっぱり功太の一番になりたいと思った
それが間違っていたんだ
どんなに優しくしても
功太は自分を選ぶ事はないんだ
そうだよ...
最初からこうしていればよかったんだ
もう功太に優しくなんてしてあげない
功太が抱く橘への思いを、
対抗しようとする思考を、
華奢なその身体を、
全部壊してあげる
何もかもを失った功太の心の中に
僕の存在意義を植え付けてあげる
僕なしじゃ生きられない様にしてあげる
僕の手の中で功太を傷付けて
僕の手の中で功太を癒してあげる
歪んだ愛の形は
功太の望まない最悪な形として
創り上げられていく
君が僕を選ぶんじゃない
僕が君を選ぶんだ
ふぅ、とため息の様な声を漏らし
後ろを振り返る
部屋へ戻ろう進めた足を止める
この中には
僕の人生で一番大切なモノが入っている
君は僕から離れられない
一生僕の側で生きるんだよ
そう、一生.......ね。
ずっと、ずっと.....
僕だけの大切な、大切な功太。
「愛してる....功太」
扉に向けて微笑む
その声はとても愛しむ様な声だったが
狂気に満ち溢れていた
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