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監禁生活。--自己喪失--
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ーー苦しい...
離して
離して....っ、
ーーーーー!
「...っ離せっ!!!」
功太は目覚めるや否や声を荒げた
だがそこには誰もいない
肩で息をする功太は自分の喉へ手をやる
「...夢、か....」
さっきまでの見ていた夢が
妙にリアルで悲しくて
現実の蒼とは違う
心から楽しそうに話す彼の姿が脳裏に焼きつく
切りつけられた腕は
夢と同じく傷が在る
「...あれ....包帯.....」
傷口はまだズキズキ痛むが
白く清潔な包帯が当てられた腕に
功太は目をやる
恐ろしい位に狂った蒼が
本当に...刃物で....
好きだという俺のことを....
下唇を噛み
染み付いた恐怖に身体が硬直する
理樹の為に使う口やそのための腕なら要らない
蒼の言葉は偽りが一切ない
見せかけの脅しなんかじゃない
きっとこの先だって
理樹の事を考えた行動をすれば....
考えるだけで小さく身体が震える
俺は、蒼のもの....。
俺はこんなの望んでいない....
蒼の所有物に下ることに反発する気持ちと
そうしなければ理樹が危ない事の葛藤で
思考が回らなくなる
抵抗しなければ痛い思いはしなくて済む
分かってる
分かってるけど
でも
だけど
あれ....
.....俺は
何を望んでるんだ....?
何をすればいいんだ....
何を求めてるんだ.....
痛みからの解放...?
ここからの解放......?
でもここから逃げたら理樹が危ない
だから逃げ出せない
でも
理樹の為にここにいるならこの思考は理樹の為?
理樹の為に使う思考なら要らない?
また殴られる?蹴られる?切られる?
俺はどうすればいいんだ?何でここに居るんだ?
何で、何で?
考えれば考える程、分からなくなる。
動悸が激しくなる
胸が苦しい
服の上から早くなっていく鼓動を抑える
頭の中で浮かぶ理樹の顔を必死に掻き消す
いつもなら心の中で呼べるのに...
助けてって言えるのに...
蒼の言葉と自分のとる言動と行動に
整理がつかない
急に頭の中が真っ白になり
自分が分からなくなる
俺は...
何がしたいんだろう
何でここにいるんだろう
頭の中で追いつかない疑問は
余計に功太を戸惑わせ、混乱させる
理樹の顔が浮かんでくるのに
名前を呼べない
痛いくらいにTシャツ越しに動悸が高まる
この感情は.....何.....?
蒼が功太に与える言葉は
確実にその精神を蝕んでいた
蒼の企みはまだ始まったばっかだ
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