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それから数日、あの出来事以来俺は一祈さんを見る度に息苦しさに襲われて。
廊下を出る度に、渡り廊下を歩く度に、移動教室の度に、購買に行く度に、それはもう変態のように一祈さんの姿を探していた。
そして部活の時間が今までは何よりも億劫で、よくサボっていたのに。
今では皆勤賞を狙う勢いで一番に来ては最後まで自主練をしてる一祈さんに付き合って、一緒に遅くまで残る優等生ぶりを発揮していた。
「ザッキー」
「あー?」
「恋愛潔癖症ってなに」
「は?」
「恋愛が嫌いって事か」
「いや自己解決してんなよ……」
「はぁー恋愛潔癖症ねぇ」
あーあーと悩みながら、一祈さんを観察して分かった事が二つ。
あからさまに避けてる人が居るって事と、今度は寧ろ反対にあからさまに懐いてる奴が居るって事。
多分一祈さんの友達何だろうけど、あの一祈さんが普通に嫌そうな顔をして話したり殴ったりしていた。
今まで見てきて他の誰にもそんなドライな対応を取ってる所なんて見たことなかったのに
。
そいつには情け容赦なく話しては殴ったりと、それが仲が良い故の表現だって事は見ていて分かる。
それにたまに顔赤くしたりしてるし……もしかしてそういう関係なのか……?
とか思ったり。
「振られるよりも最悪な事ってなんだ」
「んー? そりゃお前アレだろ」
「なんだよ」
ポツリと零れた言葉は消えること無くザッキーが拾ってくれる。
それから気持ちよさそうに日向ぼっこしていた顔を俺に向けて小さく口を開いた。
「好きって言えねぇ事じゃね?」
「……」
「誰にも好きって言えねぇのって、振られる事よりもきついっしょ」
「ザッキー」
「んぁ?」
「お前って乙女なのね」
「殺すぞインポコノヤロー」
いや、マジで、しっくり来た。
本当その通りだと思った。
俺は今ザッキーに漏らせたし、誰かに吐き出す事が出来てるけど。
人を好きになって、それを肯定出来ないって辛いんだろうな。
その人を本気で好きなら好きなほど。
好きになっちゃいけねぇ恋愛ほど、心にひっかかるのって、人間めんどくせーと思う。
「一祈さんに嫌われたくねーな」
「好かれても無いだろ。 安心して振られて来い」
「バーカ。 伊達に後輩やって無いんだよ。 色恋抜きで俺はあの人結構好きなの」
「ふーん。 でもそんなに四六時中、考えてるほど惚れてんなら我慢の限界も知れてるだろ」
「それな!」
「下手な形で爆発するよりしっかり言う事言った方がいいんじゃね」
「あー」
「……」
「ザッキー」
「あー?」
「お前って本当、マブタチマジラブだわ」
「辞めろその変な語呂合わせ」
「マブタチマジラブ」
「なんかイラつく」
嫌がるザッキー相手にほれほれと嫌がらせをして鬱憤を晴らす。
ザッキーは何かとツッコミ役だし頼れるしお兄さんって感じだけど、可愛い。
特にからかう時は可愛い。
から、からかい過ぎて後にしばかれるわけだけど。
「はあ〜、一祈さんとキスしてー」
「うっわぁ……。 見てこれ、鳥肌。 お前の発言のせいだ」
「……」
「お前が何か純情ぶってんの気持ち悪すぎて!」
「ザッキー」
「なんだよ」
「俺、かっこいい?」
「……」
「俺、イケメン?」
「……死ね」
「つらたん」
まあ相も変わらずこんな感じで。
二年に進級してまだ1ヶ月。
俺の新学期は初めからズッコケまくりなスタートです。
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