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過程-12
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二人は三日間の停学――自宅謹慎処分を食らった。大河としては、それだけで済んだかという驚きが強かった。
あの後、トイレで抜いてから言われた通りに生徒指導室へ向かった。宇佐美の面談が終わるまで外で待たされたが、大河の番になって中に入ると、柏木、それと生徒指導部長の体育教師が二人、険しい顔つきで座っていた。
そして言い渡されたのだ。「停学」と。
理由は追試中に不正行為を働いていたことという、単純にそれだけではない。問題は、大河と宇佐美が何をしていたかということだ。停学の理由は、表向きは喧嘩ということになった。
けれど教師二人は真実を知っているらしい。宇佐美が本当のことを言ったのだ。彼がどういう表現を用いたのかは知らないが、体育教師は「性的暴行……を、仲宗根が宇佐美から受けた、ということでいいんだな?」と、これは由々しき事態だと言いたそうな、地球の終わりでも見たかのような目つきで窺ってきた。柏木には「もしそれが本当でも、俺と菅原先生二人の間だけで留めて、他の先生には喋らないから」と妙な心遣いをされた。
もう何だっていい。合意だろうがそうでなかろうが、大河にとってはもう意味をなさない。ただ、宇佐美が自ら告白するなんてと、意外だった。たった、それだけだ。
「――……」
自宅の寝室のベッドの上で、白い天井を仰ぎ見る。
一言で言えば、ショックだった、のだろう。多分、そういう感じだと思う。
宇佐美の言う通りにしなければならないことは理解している。ならば諦めて身を投げ出すのが一番楽だということも知っていた。しかし男である以上、屈辱であるという価値観はどう足掻いても変えようがない。
(……いかされなかっただけマシか)
犬飼の、時のように。
前向きに考えればそういうことだろう。
どうしてあの時思い出してしまったのかと自身を罵倒する。下肢に触れる手が、犬飼のものだと錯覚しそうになった。犬飼と接触したのは、あれはもう随分前のことのように思う。
意思とは無関係に身体が昂っていた。それを察した犬飼が触ってきた。先端に爪を立てられ、射精した。混乱して、苛立って、突き放した。
それから犬飼は姿を見せない。
それが良いことなのか悪いことなのかは、判断できない。
「……ん」
感触までも思い起こしてしまいそうなのを阻むために、大河は掛布を引っ張って頭から被った。何も考えるな、と強く命令して瞼を閉じる。意識が自然と落ちるまで、暫く無意味なことを考えていた。
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