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先輩は偉大
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………?
「「えぇぇぇぇええええええ!!!!」」
2人分の驚嘆が廊下に響き渡る。徹先輩は立てた人差し指を口元に持ってきて、面白そうに笑った。
「で、で、で、でも!会長ってあの眼鏡かけた人じゃ……」
「そ、そうやで!集会でいっつも挨拶すんのあのちっこい眼鏡やん」
挨拶が独特だから覚えてる。というより多分何年経ったあとでも覚えてると思うくらい印象的な人
ちっちゃくっていつも挙動不審で、たった一言二言話すだけでも噛むしどもるし、顔真っ赤だしたまに転ぶし…
「あぁ…俺、会長就任の日、風邪で寝込んでたんだよ。それで彼が代理で立ってくれたんだけど、極度のあがり症でね。
俺の挨拶文を読んでくれたのはいいけど、会長代理って言うのを忘れて名前も自分の名前を言ってしまったんだ。そもそも生徒会に就任するのは前任の役員が直接指名する制度だから、さほど支障は出なくてね。
俺も人前に出るのは好きじゃないから表向きの会長は彼ってことになったんだ。あ、ちゃんと仕事のできる人だから安心していいよ」
…………いやいやいやいや!
好き嫌いの前にあそこまでのあがり症人前に出すなよ!
「もちろん合宿での事は必要最低限の人しか知らないし、知ってると言っても一人の生徒が彼らに痛めつけられたってことだけだから安心して?」
「なんか…本当いろいろありがとうございます」
驚いたけど、ホント徹先輩にはいっぱい助けてもらった。
FSで顔は合わせてたとはいえ初対面の俺の心配してくれたし、勉強教えてくれたし、助けてくれたし、その後のもろもろの処理をいつの間にかしてくれた。あの朝会ってなかったら俺は助かってなかったのだろうか?
「……くん?怜司くん!」
────!!
「は、はい!」
「っていうことだからくれぐれもよろしくね」
じゃあねと手を振って去っていった。
「なぁ徹先輩今なんて…」
言ってたんだ?
そう聞こうとしたとき、休憩時間が終わりを告げるチャイムが鳴った。
「ゲッ……
次化学やん!
あの先生時間にめっちゃ厳しいのに
ほら急ぐで!」
「あ!!忘れてた!」
バタバタと教室に向かって授業が終わる頃には先輩が言ってたことを聞くことさえ忘れていた。
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