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来客は気が短いのか、何度もベルが押される。
「・・・タカさん、お客さんだよ」
しぶしぶといった感じに俺を解放し、タカさんは玄関へ向かった。
俺もいつまでも裸で居るわけにもいかず、服を着る。
「ちょ、おまっ勝手に入ってくんな」
タカさんの声が聞こえる。直後、ガチャっと扉が開く。
「こんにちは。ゆうと君」
あぁ、もう夕方だからこんばんはだったかしらと言いながらにこっと笑顔を向けられる。
「よ、洋子・・・さん」
「おい、てめぇ帰れよ。邪魔すんな」
「この私をてめぇだなんて失礼な」
「洋子さん、なんでここに?」
「ちょっと言いたいことがあって・・・って、ゆうと君、その手首・・・」
しまった。
長袖を着てはいたのだが、袖口から紐の痕が見えてしまっていたらしい。
思わず、手を後ろに回して洋子さんから見えないように隠す。
が、見られてしまっているのだからそれは後の祭りで・・・。
「よく見せて」
素早く俺に近づいた洋子さんに腕を掴まれ、しっかりと痕を見られてしまった。
「おいこのバカ野郎が。あんた何してんの?こんな痕つけて!バカじゃない?」
手首の痕を確認した洋子さんは、すごい剣幕でタカさんに詰め寄る。
「あ~。いや、それは・・・」
「よ、洋子さん、大丈夫なので・・・」
あまりの剣幕に、タカさんを庇いたいわけじゃないけど思わず洋子さんを止めに入る。
だが、お怒りになったあの洋子さんが止まるわけもなく、
「ったく。あ~もぅ、バカ。このバカ。本当バカ。なんであんたはこうも不器用なわけ?どーせなんか暴走した挙げ句こんな暴挙に出たわけよね?でもね、あんたはその前にゆうと君に話さなきゃいけないこと、いっぱいあると思うわよ?」
このバカ。と、タカさんにまくし立てる。
「まぁ、でもちょっとはゆうと君にも問題あると思うわ。このバカに良いようにされすぎよ。流されて受け入れるだけじゃなくって、たまにはビシッと拒絶しなさいな!」
「は、はいっ」
矛先が俺にも・・。
うぅ、怖い。
「あっ、タカちょっとゆうと君と二人にして?」
有無を言わせぬ、にっこりとした笑顔で洋子さんはタカさんを部屋から追い出す。
うわ~、タカさんがあんな為すがままなの初めて見た。
「はぁ。さて、ゆうと君もう私とあのバカの関係は聞いたかしら?」
「いとこだと聞きました」
「そう、その通りよ。ところで初めて会った時、私をタカの恋人だかセフレだかと勘違いしたんじゃない?」
「それはっ・・・。まぁ」
「嫉妬した?」
「・・・っ」
答えられない俺に、さらに洋子さんは追い討ちをかける。
「タカを一人占めしたいって独占欲とかわかなかった?」
「別にっ・・・そんなこと」
「はぁ・・・。あのバカは本当にバカだからあんなんだけど、ゆうと君、あなたもあのバカと同類になりたくなくば、もう少し色々自分の気持ちを考えてみたら?ってか考えろっこのスカポンタンッ」
「怒んないでっ」
「・・・失礼。つい感情が高ぶってしまったわ」
でも、と洋子さんは話を続ける。
「変に誤魔化さないで、自分の気持ちをきちんと考えてみなさいよ?さて、と、あのバカにはきちんと説教をしてやらなきゃ。ゆうと君はしばらくそこで気持ちを整理なさい」
洋子さんはそう言って部屋を出ていってしまった。
・・・気持ち。
俺は・・・タカさんを・・・。
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