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ゆう8
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それから俺はリハビリを黙々と頑張った。
体力はガタ落ちで、それでなくても肉の付きにくい身体は益々肉が落ちてみすぼらしくなっていた。
以前のように身体を動かそうと思っても上手くいかない。
だけど早く退院したくて、というよりは何も考えたくなくてガムシャラに頑張った。
身体が普通に動くようになる度にまさとが喜んでくれるのが、素直に嬉しかった。
ただあれからともの話題には触れていない。
夜、一人になると、すっかり塞がった筈の傷口が疼く。
ともの血が俺の身体を流れている…
まさとから聞かされた事実。
俺はそっと傷口に唇を押し当てた。
少しでもともを感じたくて…
おそらく親から連絡はいっているのだろうが、特に何もないのかちょこちょこ様子を見に来る母親からも、それといってとものことは話題には上らなかった。
きっと聞けば教えてくれたのだろうが、敢えて俺からも聞こうとはしなかったし、母親なりに何かを感じていたのかもしれなかった。
普段はちょっと緩い母親とはいえ、やっぱり親は親なのだ。
自分の子どものことなどお見通しなのかもしれない…
何も言わない母親に、俺は感謝しなくてはいけないだろう。
退院の日が目前に迫っていた。
外は寒いのか、窓ガラスが曇っている。
それでも上の方の、まだ曇らずに空いたスペースからは、僅かに星が輝いて見えた。
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